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前科と国家資格 | 刑事事件の弁護士ならあいち刑事事件総合法律事務所

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前科と国家資格

前科と国家資格

弁護士が対応すると事件を起こしても仕事上の資格等に悪影響を及ぼさないよう活動することが可能です。

「前科がついてしまうと、今の仕事をつづけられなくなるのでは。」
「資格の勉強を続けていたが、捕まってしまい、資格を得られるか不安になってきた」
今現在こんな風に不安を持たれている方もいらっしゃるのではないのでしょうか。

警察の捜査を受けたり、逮捕勾留されたりしても必ず前科が付くわけではありません。
前科を回避することで資格を失わないというメリットがあります。

前科が着くとどんな不利益がある?
仕事を失う?
海外旅行や結婚については悪影響があるのか?

前科が付くと海外渡航や就職、結婚となんらか制限がつく可能性がありますが、特に問題なのは資格の中には前科があると得られない、または前科が付くとそれを喪失する可能性があるものがあります。

以下では、前科とはどのようなものか、職場に申告しないことのリスク、前科の存在によって制限を受ける資格についてご説明します。

1.前科とは

⑴ 前科の定義

前科という言葉は、法律用語ではありません。明確に定義することは難しいですが、一般的には、「過去に確定した有罪判決を受けた事実・経歴」を意味します。
確定した有罪判決を受けた場合であれば前科があることとなるので、懲役・禁錮刑の実刑判決を受けた場合のみならず、執行猶予判決であった場合も含まれますし、罰金刑となった場合も含まれます。

これに対し、捜査の対象となったものの、事件が検察官に送致されなかったり、検察官によって不起訴処分になったりした場合には、前科はつきません。ですが、前歴(過去に捜査機関によって一定の捜査の対象となった事実・経歴)がつきます。

⑵ 前科は消えないのか

前科があると、資格制限があるので前科は一生消えないのかが気になるところではあります。刑法34条の2によれば、執行終了又は免除後一定期間(禁錮以上は10年、罰金以下は5年、刑の免除は5年、刑の免除は2年)を罰金以上の刑に処せられることなく経過したとき、その抹消が認められ、刑が消滅するとされています。

この期間を経過すると、犯罪人名簿からも抹消され、警察も無犯罪証明書を出してくれるようになります。また、履歴書の賞罰記入欄にも「なし」と書いてもよくなります。
 なお、刑が消滅したとしても警察と検察庁に犯歴記録は残るので、新たに罪を犯した場合は当然に不利に斟酌(しんしゃく)されます。

⑶ 前科を申告する必要があるか

前科がつくこととなった場合、勤務先に申告する必要があるのかですが、これについて勤務先が前科を調べる手段はありません。したがって、特に前科があるかをたずねられない限り申告する必要はないといえます。

しかし、会社の中には入社の際、前科があるのかたずねてくるところもあり、その場合に前科がるのに「ない」と答えると経歴詐称として処分を受けるおそれがあります。
また、履歴書には賞罰欄があり、その欄に前科を書かなければならないのかも気になると思います。

一般的に、履歴書には学歴、職歴、そして賞罰を書くことになっているため、もし前科があるのであれば、賞罰の欄に記入しなければなりません。もし、前科があるのに賞罰欄に何も記載しなければ、経歴詐称となってしまいます。さらに賞罰を記載しないで履歴書を作成する行為自体が私文書偽造という犯罪として処分を受ける可能性があります。
もっとも、賞罰の記入欄のない履歴書にわざわざ書く必要はありません。

2.前科によって影響を受ける国家資格

公的な資格の多くは前科がつくことで、資格停止やはく奪、新たな資格取得の制限等不利な影響を受けます。
国家・地方公務員はもちろん、医師や薬剤師、看護師等の医療系の資格や士業は基本的に資格のはく奪や停止その他処分の対象となります。以下では資格制限の一例を根拠条文とともに上げます。

教員(幼稚園や小学校、中学校等の先生)
禁錮以上の刑に処せられた場合(執行猶予付き判決を含む)には、教員となることができません。また、教員免許も失効します。
(学校教育法9条2号、教育職員免許法10条1項1号、5条1項4号)

取締役、監査役、執行役(会社法331条1項4号、335条1項402条4項)
禁錮以上の刑に処せられた場合、その刑期の満了まで欠格事由に該当します。
ただし、これらの役員に関しては執行猶予付きの判決であれば、欠格事由には該当しません。

建築士(一級、二級、木造)(建築士法7条3号)

宅地建物取引業者 (宅地建物取引法5条1項3号)

宅地建物取引士 (宅地建物取引法18条1項5号)

建設業者 (建築業法8条7号)

古物商 (古物営業法4条2号)

警備業者・警備員 (警備業法3条2号、7条)
これらの資格は、禁錮以上の刑に処せられた場合、その刑期の満了から5年以上を経過するまで、欠格事由に該当します。
執行猶予付きの判決であった場合には、その執行猶予の期間が満了するまで欠格事由に該当します。

土地家屋調査士 (土地家屋調査士法5条1号)

不動産鑑定士 (不動産の鑑定評価に関する法律16条4号)

公認会計士 (公認会計士法4条3号) 

司法書士 (司法書士法5条1号)

税理士 (税理士法4条6号)

社会保険労務士 (社会保険労務士法5条6号) 

行政書士 (行政書士法2条の2第4号)

中小企業診断士 (中小企業診断士の登録等および試験に関する規則6条1項、5条4号)

通関士 (通関業法6条3号)

生命保険募集人、損害保険代理店 (保険業法279条1項2号)
これらの資格は、禁錮以上の刑に処せられた場合、その刑期の満了から3年以上を経過するまで、欠格事由に該当します。
執行猶予付きの判決であった場合には、その執行猶予の期間が満了するまで欠格事由に該当します。

業務管理主任者 (マンションの管理の適正化の推進に関する法律59条1項3号)

保育士 (児童福祉法18条の5第2号)
これらの資格は、禁錮以上の刑に処せられた場合、その刑期の満了から2年以上を経過するまで、欠格事由に該当します。
執行猶予付きの判決であった場合には、その執行猶予の期間が満了するまで欠格事由に該当します。

医師 (医師法4条3号、7条2項)

歯科医師 (歯科医師法4条3号、7条2項)

保健師、助産師、(准)看護師 (保健師助産師看護師法9条1号、14条)

これらの資格の場合、罰金刑以上の刑に処せられた場合には、免許が取り消される場合があります。

以上のように、国家資格を保有しており、それを用いて仕事を行っている方の場合、基本的には裁判にかけられて禁錮以上の刑(執行猶予付判決を含む)に処せられてしまうと、欠格事由に該当し、一定期間その業務の遂行が不可能となります。

そのような自体を回避するためには、弁護士とともに、裁判にかけられる前の活動を充実させることにより不起訴処分や罰金刑を目指す必要があるのです。
その他の国家資格の欠格事由及び免許取消事由等についても参考までに法律の規定を記載しておきます。

あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師

あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第3条
次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。

  1. 心身の障害によりあん摩マッサージ指圧師、はり師又はきゆう師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
  2. 麻薬、大麻又はあへんの中毒者
  3. 罰金以上の刑に処せられた者
  4. 前号に該当する者を除くほか、第一条に規定する業務に関し犯罪又は不正の行為があつた者

栄養士

栄養士法第3条、5条

次の各号のいずれかに該当する者には、栄養士又は管理栄養士の免許を与えないことがある。

  1. 罰金以上の刑に処せられた者
  2. 前号に該当する者を除くほか、第一条に規定する業務に関し犯罪又は不正の行為があつた者

栄養士法第5条

栄養士が第三条各号のいずれかに該当するに至つたときは、都道府県知事は、当該栄養士に対する免許を取り消し、又は一年以内の期間を定めて栄養士の名称の使用の停止を命ずることができる。
管理栄養士が第三条各号のいずれかに該当するに至つたときは、厚生労働大臣は、当該管理栄養士に対する免許を取り消し、又は一年以内の期間を定めて管理栄養士の名称の使用の停止を命ずることができる。

技術士

技術士法第3条

次のいずれかに該当する者は、技術士又は技術士補となることができない。

  1. 成年被後見人又は被保佐人
  2. 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者
  3. 公務員で、懲戒免職の処分を受け、その処分を受けた日から起算して二年を経過しない者
  4. 第五十七条第一項又は第二項の規定に違反して、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者

3.最後に

仕事で使う資格等を守るため、「前科を避けたい」なら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
刑事事件を専門に取り扱う弁護士が、直接「無料相談」を行います。
被疑者が逮捕された事件の場合、最短当日に、弁護士が直接本人のところへ接見に行く「初回接見サービス」もご提供しています。数多くの不起訴処分獲得の実績を基に、あなたやあなたのご家族に前科を避けられるよう全力でサポートいたします。

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