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危険運転致死傷について | 刑事事件の弁護士ならあいち刑事事件総合法律事務所

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危険運転致死傷について

危険運転致死傷について

「危険運転という言葉は聞いたことがあるけど、具体的にはどういう運転のことだろう」
「お酒を飲んだ状態で人身事故を起こしてしまったけど、危険運転になってしまうだろうか」

危険運転致死傷という言葉は報道等でも聞く機会が多いと思いますが、どのような事故が当たるのでしょうか。
ここでは、危険運転とは何かや危険運転をしてしまった場合の罰則などを具体的に解説していきます。

「危険運転」とは

法律上「危険運転」という言葉がそのまま定義されてはいませんが、危険運転致死傷罪での処罰対象となる行為のこととされます。具体的には以下の行為です。

  1. アルコール又は薬物の影響で正常な運転が困難な状態での運転(たとえば泥酔状態での運転があたります)
  2. 制御が困難な程の高速度での自動車の運転(具体的に時速何キロだと該当するかは、事故時の具体的な状況によります。カーブでの事故の場合に、時速約75キロで該当すると判断されたケースもあります。)
  3. 車を思い通りに制御する技能がないのに、運転した場合(たとえば運転経験が一度もないのに、いきなり車を運転する場合があたります。実際に技能があるかが問題となるので、運転経験はあるが、無免許だったという場合は、この罪には該当しません)
  4. 他人や他車の進行を妨害するため、重大な交通の危険を生じさせる速度で、他車のすぐ前に割り込んだり、他人や他車に急接近する行為(たとえば高速度での割り込みや幅寄せがあたります。時速何キロなら重大な交通の危険を生じさせる速度に当たるかは、具体的な事情によります。相手がバイクの時に、時速約50キロで該当するとされたケースもあります)
  5. 車の通行を妨害する目的で、重大な交通の危険を生じさせる速度で走行中の車の前方で停止したり、著しく接近することとなる方法で運転した場合(いわゆるあおり運転)
  6. 高速道路や自動車専用道路上で、車の通行を妨害する目的で走行中の車の前方で停止したり、著しく接近することになる方法で車を運転することにより、走行中の車に停止または徐行をさせる行為(高速道路上などでのあおり運転)
  7. 赤信号や進行方向への通行ができないことを示す信号を無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で走行する行為(赤信号に気付きながら、無視して高速度で突っ切る場合が当たります。赤信号に全く気付かなければ、無視したと言えず、該当しませんが、赤信号の可能性を認識できたが、気づいても止まる気はなかった場合には該当することになります。重大な交通の危険を生じさせる速度については、④で述べたとおりです。)
  8. 通行禁止道路を、重大な交通の危険を生じさせる速度で走行する行為(たとえば、高速道路を高速度で逆走する場合が当たります。重大な交通の危険を生じさせる速度については④で述べたとおりです)
  9. アルコール又は薬物の影響で、正常な運転に困難が生じるおそれがある状態で運転し、運転中に正常な運転が困難な状態に陥り人を死傷させた場合(①ほどアルコールや薬物の影響を受けていない状態での運転の場合です。「正常な運転に困難が生じるおそれがある状態」とは、正常な運転が困難とはいえないが、運転に必要な判断力や集中力が大幅に減衰している状態のことです。)

のいずれかにより他人を死傷させた場合に成立します。

いずれの場合も、①から⑨の各事情についての認識が、事故を起こした人にあること(故意)も必要とされます。もっとも、これらの事情があったと評価する根拠となる事実の認識があれば故意は認められるとされます。
ですから、たとえば、自分が飲酒して足元がふらつき、強い眠気に襲われているという認識があれば、その状態でも自分は正常に車を運転できると考えても、アルコールの影響で正常な運転が困難な状態だと評価する根拠となる事実の認識があったとされ、危険運転致死傷罪に該当することになります。

危険運転致死傷罪の刑罰は最長20年

①から⑧の行為をして、他人を死亡させた場合は最長20年の懲役、他人を負傷させた場合は、最長15年の懲役となります。
⑨については、若干刑が軽くなり、死亡だと15年以下の懲役、負傷だと12年以下の懲役となります。

危険運転致死傷は実刑のリスクが高い犯罪です

危険運転致死傷罪は、交通事故に通常適用される過失運転致死傷罪に比べて上限が非常に高く設定されており、重大な罪として扱われています。そのため、初犯であっても執行猶予がつかずに実刑となる可能性が高いです。
特に、危険運転致死罪に当たる場合には、故意の犯罪行為により人を死亡させた罪に当たるので裁判員裁判対象事件になっており、実刑の可能性がより高いと言えます。
また、ひき逃げにも該当する場合は(ひき逃げは事故自体でなく、事故を起こした後に救護義務を怠って現場を離れたことを処罰するので、危険運転致死傷と両立します)、長期間の懲役刑も考えられます。

危険運転をして事故を起こした場合

①不起訴に向けた活動をする

危険運転致死傷罪に当たる事故を起こしてしまった場合、不起訴に向けた活動としては示談があげられます。
交通事故では、加害者が自賠責保険や任意保険に加入している場合、治療費等の損害の弁償は保険会社が支払うことになりますが、保険会社による損害の弁償とは別に、被害者との間で示談をすることは、不起訴処分を獲得するために、有効性が高いです。
示談の内容は、慰謝料や解決金を示談金として加害者が被害者に支払い、被害者に、「加害者を許す」や「加害者の刑事処罰を望まない」旨の意思表示をしてもらう、というものが最良です。もっとも、相手が許す旨の意思表示をしない場合でも、示談は成立します。
相手の怪我が重傷である等、示談のみでは不起訴の獲得が難しい場合には、検察官との面談や意見書の提出を通じて、示談以外の有利な事情があれば提示して、不起訴処分を得られるよう、交渉することもあります。

②減刑に向けた活動

危険運転致死傷罪は、不起訴処分にならず裁判になる可能性が一般に高い犯罪です。裁判になる見込みが高い場合には、実刑でなく執行猶予が付されるように活動することになります。この場合も、示談が成立していれば、減刑に働く事情となりますので、示談が成立していなければ、示談交渉を行います。
事故の状況等や弁護士の側で収集できた証拠からから、より軽い過失運転致死傷罪が成立するに留まると主張できるような場合には、その旨を主張して、検察官を説得する場合もあります。

危険運転致死傷で逮捕、勾留されてしまったら

身体を拘束された場合、弁護士がいれば身体解放活動を行うことになります。
具体的には

①勾留請求前には、検察官へ、勾留を請求すべきでない旨の意見書の提出

②勾留請求後には、裁判官へ、勾留を認めるべきでない旨の意見書の提出

③勾留決定後には、準抗告(勾留決定に対する不服申立です)を行う

といった活動を行います。

意見書や準抗告では、身体を拘束する理由がないことや、釈放の必要性を明らかにして、検察官の勾留請求前には、勾留請求をしないよう、裁判官の勾留決定前であれば、勾留決定自体をしないよう働きかけます。勾留決定後であれば、勾留決定に対する不服申立てをし、勾留決定の取消しを求めます。

身に覚えのない危険運転致死傷の疑いをかけられた場合

身に覚えのない危険運転致死傷の疑いをかけられた場合、冤罪を回避するには、取調べ段階での対応が非常に重要となります。弁護士が付いていれば、取調べに同行し、不利な供述を取られないようアドバイスしたり、弁護士の方で供述を記録する等して、疑いをかけられた方の無罪主張をサポートし、そもそも起訴されずに済むように活動します。
仮に裁判になった場合には、無罪を示す証拠の収集や、それらの証拠に基づく立証、検察官側の証拠の信用性を争う等して、無罪判決を獲得できるよう活動します。

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