自動車運転処罰法とは
自動車運転処罰法は、自動車を運転して、他人を死傷させた場合の罪について定めた法律です。運転手の過失による一般的な事故については、過失運転致死傷罪が成立します。
一部の危険な運転については、危険運転致死傷罪が成立します。危険運転致死傷罪の具体的な内容については、「危険運転行為等」で詳しく解説します。
1.過失運転致死傷罪は7年以下の懲役または禁錮、100万円以下の罰金
過失運転致死傷罪は、自動車の運転上必要な注意義務を怠って、他人を死傷させた行為に対する罪です。
該当する場合としては、一時停止を怠る、前方不注視、アクセルとブレーキの踏み間違い、低速での信号無視等があります。
なお、無免許運転だった場合は、10年以下の懲役刑のみとなります。
2.危険運転致死傷罪は20年以下の懲役
危険運転致死傷罪は、飲酒や薬物を窃取した状態での運転や、高速度での進行妨害、赤信号の無視等の一部の危険な運転行為により、人が死傷した場合に成立する罪です。具体的な内容は「危険運転行為等について」の項で解説しております。
3.長期の実刑の可能性があります。
過失運転致死傷の場合、過失の態様や相手の被害によっては、実刑になることがあり得ます。さらに重い危険運転致死傷に該当する場合は、実刑になる可能性も、刑が長くなる可能性も高くなります。事故の態様や被害の結果によっては10年以上の懲役となることもありえます。特に飲酒による場合は、刑が重くなる傾向にあります。
人身事故・死亡事故を起こしてしまったら
①不起訴に向けた活動をする
人身事故、死亡事故を起こしてしまった場合、不起訴に向けた活動としては示談があげられます。
交通事故では、加害者が自賠責保険や任意保険に加入している場合、治療費等の損害の弁償は保険会社が支払うことになりますが、保険会社による損害の弁償とは別に、被害者との間で示談をすることは、不起訴処分を獲得するために、有効性が高いです。
示談の内容は、慰謝料や解決金を示談金として加害者が被害者に支払い、被害者に、「加害者を許す」や「加害者の刑事処罰を望まない」旨の意思表示をしてもらう、というものが最良です。もっとも、相手が許す旨の意思表示をしない場合でも、示談は成立します。
相手の怪我が重傷である等、示談のみでは不起訴の獲得が難しい場合には、検察官との面談や意見書の提出を通じて、示談以外の有利な事情があれば提示して、不起訴処分を得られるよう、交渉することもあります。
②減刑に向けた活動
危険運転致死傷の疑いをかけられている場合や、過失運転致死の場合には、不起訴処分にならず裁判になる可能性が高いです。裁判になる見込みが高い場合には、実刑でなく執行猶予が付されるように活動することになります。この場合も、示談が成立していれば、減刑に働く事情となりますので、示談が成立いていなければ、示談交渉を行います。
危険運転致死傷罪が疑われている場合には、事故の状況等からしてより軽い過失運転致死傷罪が成立するに留まると、検察官を説得する場合もあります。
人身事故、死亡事故で逮捕、勾留されてしまった場合
身体を拘束された場合、弁護士がいれば身体解放活動を行うことになります。具体的には
①勾留請求前には、検察官へ、勾留を請求すべきでない旨の意見書の提出
②勾留請求後には、裁判所への勾留を認めるべきでない旨の意見書の提出
③勾留決定後には、準抗告(勾留決定に対する不服申立です)を行う
といった活動を、弁護士がついている場合には行います。
意見書や準抗告では、身体を拘束する理由がないことや、釈放の必要性を明らかにして、検察官の勾留請求前には、勾留請求をしないよう、裁判所の勾留決定前であれば、勾留決定自体をしないよう働きかけます。勾留決定後であれば、勾留決定に対する不服申立てをし、勾留決定の取消しを求めます。
身に覚えのない人身事故、死亡事故の疑いをかけられた場合
身に覚えのない人身事故、死亡事故の疑いをかけられた場合、冤罪を回避するには、取調べ段階での対応が非常に重要となります。弁護士が付いていれば、取調べに同行し、不利な供述を取られないようアドバイスしたり、弁護士の方で供述を記録する等して、疑いをかけられた方の無罪主張をサポートし、そもそも起訴されずに済むように活動します。
仮に裁判になった場合には、無罪を示す証拠の収集や、それらの証拠に基づく立証、検察官側の証拠の信用性を争う等して、無罪判決を獲得できるよう活動します。
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