外国人の逮捕と刑事事件
外国人事件の場合であっても、基本的な逮捕、勾留の手続は日本人の事件の場合と変わりません。
ただ、取調べ等のやり取りにつき、日本語では意思疎通が難しい場合には、通訳を介して取調が行われます。十分な意思疎通ができる程度に日本語が堪能であれば、日本語で取調が行われます。
弁護士が逮捕、勾留されている通訳の必要な外国人と接見する際には、弁護士の側で通訳人を依頼して一緒に接見をすることになります。
刑事事件を起こすと在留資格に影響する?
外国人の場合、日本に一定以上の期間にわたって滞在する場合は、在留資格が必要となります。
在留資格にはいくつかの喪失事由があり、国内から強制的に退去せせるための退去強制令書の発付もその一つとなっています。日本で罪を犯して裁判となり、有罪判決となった場合、その判決の内容によっては、退去強制事由となり、退去強制令書が発布されて在留資格を失ってしまいます。有罪判決が退去強制事由となるのは、特別永住者以外の全ての在留資格です。退去強制事由となるのは具体的には以下の通りです。
①旅券法違反の罪または、入管法違反のうち、集団密航等に加担した罪で刑に処された場合
②薬物関係(麻薬、大麻、あへん、覚せい剤等)の法律違反の罪で有罪判決を宣告され、確定した場合
これらについては、その刑の内容(①②に罰金刑のみのものはありません)及び執行猶予の有無にかかわらず、退去強制事由となるので、在留資格が失われます。
③入管法違反のうち、資格外活動を行った罪の場合
禁固以上の刑が確定すると、退去強制事由となり、在留資格が失われます。
④上記以外の罪の場合
原則として、1年以上の懲役または禁錮の実刑判決が確定した場合には、退去強制事由となります。
もっとも、殺人、傷害など一部の犯罪については、永住者、定住者、日本人又は永住者の配偶者以外の在留資格の場合には、懲役または禁錮の言渡しを受けると、刑の期間や執行猶予の有無にかかわらず、退去強制事由となります。
また、逮捕、勾留による身体拘束中に在留期間が経過してしまう場合は、在留期間の経過自体が在留資格喪失の対象となってしまうおそれがあります。
刑事事件による退去強制手続きの流れ
前述のように、有罪判決が確定した場合、内容によっては退去強制事由になります。その場合、退去強制手続きが行われることになります。なお、判決の確定というのは、判決が出た後、不服申立ての期間内に不服申立てをしないことで成立します。
退去強制手続きは、判決が確定することが退去強制事由であることから、判決が確定した時点から開始されます。収容場に収容されたうえで、入国審査官による取調べを経て、退去強制令書が発付され、送還されるという流れになります。
退去強制を避けるには?
退去強制を避けるには、不起訴処分を獲得する、早期に身体を解放することが重要です。
前述のように、犯罪を行った場合に在留資格を喪失するのは、裁判で有罪となり一定の刑に処される場合及び、身体を拘束され、在留期間の更新ができずに超過してしまう場合です。
ですから、不起訴処分を獲得して刑を回避する、有罪でも退去強制事由とならない内容の判決を獲得する、在留期間の更新ができるように早期に身体を解放する、といった活動をすることが大切です。
そのためには、刑事専門弁護士に早期にご相談することをお勧めします。初動が早いほど、対応に使える時間に余裕ができ、充実した活動が可能となります。
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