国選弁護人のメリット
国選弁護人とは、読んで字のごとく、国から選ばれて刑事弁護を担当する弁護士のことです。
国から選ばれるので、弁護費用はほとんどかかりません。事案によっては弁護士費用がかかることもあるのですが、後述する私選弁護人と比べてごく低額の費用に止まります。
ですので、「お金のかからない弁護士」ともいえるでしょう。
これが国選弁護士の最大のメリットであるといえます。
国選弁護人のデメリット①いつでも、誰でも選べるわけではない!
国選弁護人はいつでもつけられるわけではありません。
国選弁護人はつけられる条件が限定されています。
・国選弁護人をつけられる条件1
国選弁護人をつけられるタイミングが限定されています。
1つは、勾留が決まった段階です。
この段階で選ぶ国選弁護人を、被疑者国選と呼んだりします。
もう1つは、起訴された段階です。
この段階で選ぶ国選弁護人を、被告人国選と呼んだりします。
この2つのタイミングでしか選ぶことができないので、逮捕段階やそもそも逮捕もされず、在宅捜査が続けられている刑事事件では、早期に国選弁護士を選ぶことはできないのです。
・国選弁護人をつけられる条件2
次に、国選弁護人は原則として貧困その他の理由により弁護人を選任することができない場合に限りつけることができます。
貧困に関しては、資力要件というものがあり、具体的には預金などの資力が50万円未満であることが必要です。
もっとも、被告人の場合に、法定刑が死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪に関する事件など「必要的弁護事件」と呼ばれる、弁護士が付いていないと公判を開けない事件については、資力があったとしても弁護人がいなければ裁判所が職権で弁護人をつけることになります。
このように、一定の条件を満たす場合しかつけることができないというのが、国選弁護人のデメリットでもあります。
3 国選弁護人のデメリット②刑事事件に強い弁護士を選べない
国選弁護人は国が選ぶ弁護士なので、被疑者や被告人から「この人を国選弁護士にしてください」と選ぶことはできません。
刑事事件に強い弁護士だけが国選弁護人に選ばれるというわけでもありません。弁護士の中には、普段は刑事事件を多く扱うことのない方もいます。国選弁護士の場合、そのような弁護士に当たる可能性もあるのです。
仮に、国選弁護人についた弁護士が刑事事件に詳しくないとか、動きが悪いとか、そりが合わないなどという事情があっても、途中で解任して別の国選弁護士に変えるということもできません。
人の生活や人生に大きな影響を与える刑事事件で刑事事件に強い弁護士を選べず交代変更もできないというのは国選弁護士のデメリットといえるでしょう。
私選弁護人
1 私選弁護人のメリット①いつでも選べる!
国選弁護人に対して、私選弁護人は自分で選んで選任した弁護士のことです。
私選弁護士は、国選弁護士と異なり、どのタイミングでもつけることができます。
弁護士が弁護活動の依頼を受けてくれる限り、逮捕段階からでも可能ですし、逮捕前や警察への事件発覚前であっても選任することができます。「いきなり警察に事情聴取に呼ばれた」というような場合も、私選弁護人であればすぐに弁護士をつけることができます。
ですので、刑事事件の早期から弁護活動をスタートすることができるのです。
逮捕や勾留を避ける弁護活動や、早期から被害者との交渉を始めて、不起訴を目指すことも可能となります。
これは私選弁護士の最大のメリットでもあるでしょう。
2 私選弁護人のメリット②刑事事件に強い弁護士を選べる!
私選弁護士は自分で選ぶ弁護士なので、刑事事件に強い弁護士を選ぶことができます。刑事事件の実績が豊富な弁護士、刑事事件に詳しい弁護士、動きの速い弁護士などを自分で探して選ぶことができるのです。依頼者と弁護士は信頼関係も重要ですので、自分で弁護士から話を聞いて、信頼できる弁護士を選ぶことができるのです。
これも私選弁護士のメリットです。
なお、国選弁護人を他の国選弁護人に変更することはできませんが、国選弁護人から私選弁護人に変更することは可能です。国選弁護人がついている場合でも、私選弁護人を選任することで、国選弁護人は自動的に解任され弁護士の交代ができます。
3 私選弁護人のデメリット
私選弁護士にもデメリットがあります。
それは弁護費用です。
私選弁護人の選任は、自分で弁護士に依頼する以上、まとまった弁護費用がかかってしまいます。
ただ、弁護費用は各事務所によって様々なので、いくつかの事務所を見比べてみるのもいいかもしれません。
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