仙台市若林区 逮捕 恐喝未遂罪と脅迫罪の違い
- 2020.02.27
- コラム
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 福岡支部
恐喝未遂罪と脅迫罪の違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
仙台市若林区に住む男性Aさんは、長年交際していた仙台市若林区の住む女性Vさんに突然の別れを告げられ、その日以降LINEで連絡を取ることができなくなってしまいました。AさんとしてはなぜVさんから別れを告げられたのか納得がいかず、「Vに別の男ができたのではないか。」と思うようになり、徐々にVさんに対する恨みを募らせていきました。そして、ある日、Aさんがスマートフォンをいじっていると、SNSにAさんが知らない男性とVさんが楽しく旅行に行っている画像がアップされているのを見つけました。Aさんはやっぱり別の男がいたのだと思い怒りが頂点に達し、SNSのメール機能を使ってVさんに「1週間以内に殺す」「殺されたくなければ慰謝料として50万円払え」とのメールを送りました。Aさんは、Vさんからの連絡もなく過ごしていると突然若林警察署の警察官の訪問を受け、恐喝未遂罪で逮捕されてしまいました。Aさんが送信したメールを見たVさんが怖くなって若林警察署に相談し、被害届を提出したようでした。Aさんは脅迫罪ではなく恐喝未遂罪で逮捕されたことに納得がいっていません。Aさんは接見に来た弁護士に恐喝未遂罪と脅迫罪の違いを尋ねました。
(フィクションです)
~ 恐喝未遂罪と脅迫罪の違い ~
恐喝未遂罪も脅迫罪も人を脅したのに、結果として財物(金銭など)を取得していない点では同じです。
では両者の違いは何かというと、端的にいえば、
恐喝未遂罪は人から財物(金銭など)を脅し取るつもりで脅迫した場合
脅迫罪は人から財物を脅し取るつもりはなく脅迫した場合
に成立するということです。そもそも
恐喝罪は人から財物を脅し取る行為に対する罪
脅迫罪は人の自由を脅かす行為に対する罪
ですからこうした違いが生じるのです。
では、恐喝罪、脅迫罪の中身をみていきましょう。
恐喝罪は刑法249条に規定されています。
刑法249条
1項 人を恐喝して財物を交付させた者は,10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により,財産上不法の利益を得,又は他人にこれを得させた者も,同項と同様とする。
「恐喝」とは,財物の交付又は財産上不法の利益を得るために行われる「暴行」又は「脅迫」のことをいいます。
恐喝罪の場合,一般に脅迫(害悪の告知)が行われることが多いと思われます。
次に、脅迫罪です。
脅迫罪は刑法222条に規定されています。
刑法222条
1項 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
2項 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
恐喝罪も脅迫罪も害悪の告知を手段としている点では同じです。
害悪の告知の「程度」は、相手方の反抗を抑圧するに至らない程度のもの、すなわち、相手方に畏怖あるいは困惑、不安の念を生ぜしめるに足る程度のものが必要とされています。
しかし、害悪の告知の「相手」は
脅迫罪の場合、「被害者」及び「その親族」に限られる
のに対し、
恐喝罪の場合、そうした限定はない
という違いもあります。
その他の違いとしては、法定刑を挙げることができます。
恐喝罪は10年以下の懲役、脅迫罪は2年以下の懲役又は30万円以下の罰金
と大きな開きがあります。
最後に、恐喝未遂罪であっても、被害者の怖い思いをさせたことは変わりないことですから、早期釈放、不起訴処分獲得を希望される場合は示談を成立させることが有効です。
示談交渉を進めることができれば、その進展具合によっては早期釈放される可能性が高くなりますし、示談を成立させることができれば相手方が被害届を取り下げてくれる可能性が高くなりますから、その場合は釈放されることとなるでしょう。刑事処分としては不起訴処分を獲得できる可能性が高くなります。