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東京都府中市 無料相談 傷害罪と正当防衛① | 刑事事件の弁護士ならあいち刑事事件総合法律事務所

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東京都府中市 無料相談 傷害罪と正当防衛①

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 東京支部

 

傷害罪と正当防衛について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部

東京都府中市に住むAさんは深夜に友人Vさんに府中駅に呼び出され、以前からVさんとは仲が悪かったのでケンカになるかもしれないと思いながらも指定された公園に向かいました。
そしてAさんが公園に着くとバットを持ったVさんが突然襲いかかってきたので、Aさんは自身の身を守るために近くにあったコンクリート片をVさんに投げつけました。
そのコンクリート片はVさんの頬をかすり、Vさんは擦り傷を負いました。
またAさんの投げたコンクリート片はVさんの背後にいたXさんにも当たり、Xさんは全治数週間の怪我を負いました。
AさんはXさんの存在を認識していませんでしたが、Aさんにはどのような罪が成立するのでしょうか。
(この話は事実を基にしたフィクションです。)

~正当防衛~

本件でAさんはコンクリート片を投げることでVさんに怪我を負わせているので、Aさんの行為には傷害罪(刑法204条)が成立するようと思われます。
ただAさんはVさんが襲いかかってきたので、自身の身を守るためにコンクリート片を投げています。
このようなAさんに正当防衛(刑法36条1項)は成立しないのでしょうか。
今回はどのような場合に正当防衛が成立するのかを説明していきます。

まず、正当防衛の条文を確認していきます。
刑法36条1項 「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。」
この条文を簡単に分けると、①「急迫不正の侵害」に対して②権利を「防衛するため」に③「やむを得ずにした行為」について正当防衛が成立します。
以下、本件においてAさんの行為が①ないし③の要件をみたすか検討していきます。

①「急迫不正の侵害」があるか
ここで「急迫不正の侵害」とは違法な侵害が現に存在する又は侵害が切迫している場合に認められるところ、本件ではVさんがバットでAさんに襲いかかろうとすることでAさんの身体に対する違法な侵害が切迫しているといえるので「急迫不正の侵害」が認められるように思われます。
ただAさんはVさんとケンカになるだろうと予測して公園に向かっていますが、このような場合でも急迫性が認められるのでしょうか。

これについて侵害を予期してそれを機会として積極的に加害行為をする意思で反撃を行った場合には急迫性に欠けるが、ただ単に侵害を予期していただけでは急迫性に欠けるわけではないと考えるのが一般的です。

本件について見てみると、AさんもVさんとケンカになるかもしれないとは思っていますがVさんを積極的に痛めつけようという意思までは有していません。
したがって、本件では急迫性に欠けることなく「急迫不正の侵害」が認められる可能性が高いです。

②権利を「防衛するため」に行ったといえるか
本件でAさんはVさんからの侵害を意識して、これを避けようとしているので「防衛」の意思が認められると考えられます。

③「やむを得ずにした」行為といえるか
これについては、防衛行為として必要かつ相当と考えられる場合に「やむを得ずにした」と認められるのが一般的です。
本件ではAさんの行為は自身の身を守るために必要なものであり、またバットで襲いかかってくる者に対してコンクリート片で反撃するというのは防衛手段として相当なものであるといえます。
したがって、Aさんの行為は「やむを得ずにした」行為に当たると考えられます。

以上より、Aさんは①ないし③の要件を満たすので緊急避難が成立し傷害罪は成立しないと考えられます。
では、AさんはXさんに怪我を負わせたことについては何かしらの責任を負わないのでしょうか。
次回のブログでXさんに対する罪が成立しないか説明していきます。

~参考条文~
刑法204条 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

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