埼玉県上尾　逮捕　公然わいせつ事件と釈放

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所　さいたま支部

公然わいせつと逮捕後の釈放のタイミングについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

上尾市に住む３０代男性のＡさんは、自宅付近のコンビニエンスストアにおいて、たびたび下半身を露出していました。そして、ある日、Ａさんは再び、そのコンビニで下半身を露出したところ、Ａさんの挙動に気づいたコンビニエンスストアの店長から上尾警察署へ通報されてしまいました。Ａさんはコンビニから自宅へ帰る途中、上尾警察署の警察官から職務質問を受け、下半身を露出したことを認めたものの、一人暮らしで、性犯罪の前科を有し逃亡のおそれが高いと判断されたことから、公然わいせつ罪で逮捕されてしまいました。
（フィクションです。）

～公然わいせつ罪とは～

公然わせいつ罪は刑法１７４条に規定されています。

（公然わいせつ）
第百七十四条　公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

「公然」とは、不特定又は多数の者が認識することができる状態をいいます。現実に不特定又は多数の者に認識される必要はなく、その可能性があれば足りるとされています。したがって、仮に公園や道路に誰もいなかったとしても、いつ不特定の者である通行人の目に触れるとも限りませんから、公園や道路は公然性が認められる場所といえます。また、屋内や車内であっても、容易に第三者の目に触れるような場所であれば公然性が認められてしまいます。

「わいせつな行為」とは、判例によると、「行為者又はその他の者の性欲を刺激興奮又は満足させる行為であって、普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するもの」と定義されています。
何が「わいせつな行為」に当たるのかは人によって基準が異なるかもしれませんが、要は、一般的な基準・感覚からして不快と思われる行為は「わいせつな行為」に当たると考えておいた方が無難です。

今回の事例の場合、コンビニは公然性が認められる場所であること、下半身を露出する行為がわいせつな行為に当たることは明らかです。
したがって、Ａさんは公然わいせつ罪で処罰される可能性が高いといえます。

なお、公然わいせつ罪の法定刑は、「６ヶ月以下の懲役若しくは３０万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」です。
初犯で起訴された場合は罰金で済むことが多いですが、Ａさんのように同じ性犯罪の前科を有する場合は懲役で処罰される可能性もあります。

～逮捕後の釈放のタイミング～

①逮捕後は、②送検→③検察官による弁解録取→④勾留請求→⑤勾留質問→⑥勾留決定、という流れとなります。

①から②まで
警察に逮捕されると警察署内の留置施設に収容されます。その後、警察署内で被疑者の話を聴く「弁解録取」という手続きを受けます。
ここで身柄拘束の必要がないと判断された場合は釈放されます（釈放のタイミング①）。
他方で、釈放されない場合は、逮捕から４８時間以内に送検（検察官の元へ身柄と事件が送られること）の手続きが取られます。この間、警察官の取調べを受けることもあります。

③から④まで
送検されると検察官の元でも「弁解録取」の手続きを受けます。
ここで身柄拘束の必要がないと判断された場合は釈放されます（釈放のタイミング②）。
他方で、釈放されない場合は、送検から２４時間以内に勾留請求の手続きを取られたと考えてよいでしょう。

⑤から⑥まで
勾留請求されると、今度は、裁判所で裁判官による「勾留質問」を受けます。勾留質問でも事件について聴かれます。
そして、勾留質問を経て検察官の勾留請求を許可するのか、却下するのか判断されます。
裁判官が検察官の勾留請求を却下し、かつ、検察官がその判断に対して不服を申し立てない場合、あるいは不服が認容されない場合は釈放されます（釈放のタイミング③）。
他方で、勾留請求の許可された場合、１０日間の身柄拘束が決定します。もっとも、その勾留決定の裁判に対して不服を申し立てることができ、これが認容されれば１０日間を待たずとも釈放されます
（釈放のタイミング④）。