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東京品川 逮捕 強盗事件 | 刑事事件の弁護士ならあいち刑事事件総合法律事務所

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東京品川 逮捕 強盗事件

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 東京支部

 

住居侵入罪(130条前段)、窃盗罪未遂罪(243条、235条)、強盗致死傷罪(240条)について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

2021年9月9日午前1時頃、品川区在住のIは、同区在住のUの家から金品を盗むため、U宅に侵入した。UはIの知人であり、何度かU宅でご飯を食べたこともあった。そのため、IはU宅の間取りだけでなく、Uの預金通帳等がリビングの棚の中に入っていることやUの就寝時刻まで知っていた。IはU宅侵入後、予想通りUが就寝中であることを確認したので、棚を開け預金通帳等を探した。しかし、棚には預金通帳は入っておらず、その他金品も見当たらなかったため、Iはその場を立ち去ろうとしたところ、Uが目を覚まし、「この泥棒。何やっているんだ。」と大声を上げ、Iに勢いよく近づいた。Iは「このままでは捕まってしまう。いっそ殺しとくか。」と思い、近付いてきたUの左胸に、所持していたナイフを突き刺し、逃亡した。その後、Uは近隣住民の通報により、病院に運ばれたが死亡が確認された。一方、Iは大井警察署に逮捕された。

この場合、Iは何の罪に問われるでしょうか。

(事実をもとにしたフィクションです)

 

・住居侵入罪の成否

強盗事件や殺人事件は減少傾向にあるものの、全く発生しないわけではありません。今回のケースでは、窃盗をしようとした犯人が逮捕を免れるために、被害者を殺害した場合です。この場合、どのような罪が成立するのか、以下検討します。窃盗罪については刑法235条、強盗罪については236条、事後強盗罪については238条、強盗致死傷罪について240条に記されています。

 

第130条(住居侵入等)

正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

第235条(窃盗)

他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

第236条(強盗)

1 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。

2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

第238条(事後強盗)

窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

第240条(強盗致死傷)

強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

 

犯罪が成立するには、「構成要件に該当し違法且つ有責な行為」である必要があるので、構成要件に該当するか、から検討します。まずは、IがU宅に侵入した行為について、住居侵入罪の成否です。

第一に、「正当な理由がないのに」ですが、ここでいう「正当な理由がない」というのは、「違法に」という意味であり、正当な理由なく侵入する行為が違法であることを注意的に規定したにすぎないとされています。よって今回のケースでは、Iの侵入行為を正当化する特段の事情がないため該当します。

第二に、「人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に」ですが、本条は「人の住居」、「人の看守する邸宅」、「建造物」、「艦船」に分けられ、それぞれ住居侵入罪、邸宅侵入罪、建造物侵入罪、艦船侵入罪に分けられます。「人の住居」とは、当該住居に対して住居権を有する者の起臥寝食に利用される場所、または日常生活に使用するため承諾なしに他人の立ち入りを認めない場所であるとされています。今回のケースでは、Iが侵入した場所は、U宅であるため、「人の住居」に該当します。

第三に、「侵入し」ですが、「侵入」とは、住居権者の意思に反する立入りを指すとされています。つまり、裏を返せば、居住者等の承諾がある場合は住居侵入罪が成立しません。しかし、強盗などの違法な目的を秘して居住者の承諾を得た場合は、住居侵入罪が成立するのが一般的です。判例でも、強盗殺人の目的を秘し顧客を装って店舗内に立ち入った行為に、住居侵入罪の成立を認めました。今回のケースでは、Iは金品を盗む意図の下、U宅に侵入しているので、Iの行為は「侵入し」に該当します。

次に、違法性と責任ですが、違法性に関しては正当防衛(36条1項)などの事実はなく、責任に関してもIは心神喪失者等でないので、Iの上記行為に住居侵入罪(130条前段)が成立するといえそうです。

 

・窃盗罪の成否

次に、Iが強盗といえるかどうかを考えるに当たっては、まずIが窃盗に当たるかどうかを判断する必要があります。IがU宅で金品を物色した行為について、窃盗罪の成否ですが、Iは棚を開けるなどしており、窃盗に着手したと言えます。しかし、Iは金品を物色したものの、預金通帳等という「他人の財物」を見つけることが出来なかったため、「窃取」したとはいえず、窃盗未遂罪(243条、235条)が成立するにとどまります。未遂罪についてはケース10にて詳しく解説しています。

 

・強盗殺人罪(強盗致死罪)の成否

その次に、Iが逮捕を免れるためにUを殺害した行為について、強盗殺人罪の成否です。

第一に、「強盗が」ですが、これは主体が強盗(未遂も含む)犯人であることを指すので、Iが強盗犯人であるかを検討します。今回のケースでは、「窃盗」未遂犯人であるIが、「このままでは捕まってしまう」と考えてUの左胸にナイフを突き刺して逃亡しており、「逮捕を免れ…るために」、Uの左胸にナイフを突き刺すという不法な有形力の行使たる「暴行…をした」といえ、上記の通りIは窃盗は既遂ではないので、事後強盗未遂罪(243条、238条)が成立します。そして事後強盗犯人は未遂罪であっても「強盗として論ずる」ため、Iは240条の主体たる強盗犯人であるといえます。よって、Iは「強盗が」に該当します。

第二に、「人を負傷させたとき」「人を死亡させたとき」ですが、「人」とは本罪の客体であり、財物奪取の被害者でなくてもよいとされています。例えば、強盗犯人が逮捕を免れるために警備員を負傷させた場合に、警備員も本罪の客体になり得るということです。「負傷させた」「死亡させた」という死傷結果については、「強盗の機会」に行われた行為であればよいとされています(大判昭6・10・29)。そしてその認定については、①強盗行為と原因行為(死傷結果を発生させる行為)の時間的・場所的近接性と②犯意の継続性を中心に総合的に判断されます。今回のケースでは、①金品物色後(強盗行為)その場を離れようとしたIが、逮捕を免れるためにナイフでUを殺害した(原因行為)ので、両者の間に時間的・場所的近接性が認められ、②犯意も継続しているといえることから、Iのかかる行為は「強盗の機会」になされたといえます。よって、「人を死亡させたとき」に該当します。

よって、Iの上記行為に強盗殺人罪(240条後段)が成立するといえそうです。

 

・強盗致死罪における殺意の有無

刑罰について解説する前に、強盗致死罪についてもう少し解説します。

今回のケースでは、IはUを殺害しているため、Iのかかる行為に殺人罪が成立するのではないかと思った方もいるのではないでしょうか。

確かに、強盗犯人が殺意を持って被害者を殺害した場合に、強盗罪と殺人罪を成立させたり、強盗致死罪と殺人罪を成立させる考え方もありますが、判例では強盗殺人罪一罪としているため、強盗殺人罪のみが成立します。主な理由として、強盗の際に人を死傷させることが多いため、被害者の生命・身体を保護するべく、殺意がある場合にも本条で処罰されるべきであるという考え方が挙げられます。なお、殺意があるのか否かを区別するべく、強盗犯人が殺意をもっていた場合は「強盗殺人罪」、殺意をもたず被害者を死亡させた場合は「強盗致死罪」と呼び分けており、既遂か未遂かの判断は、被害者の死傷結果により判断されます。今回のケースでは、Iは殺意を持ち、かつUは死亡しているので、強盗殺人罪の既遂犯となります。

 

・刑罰について

では、成立したとしてどのような刑罰が科せられるでしょうか。今回のIの上記各行為には、①住居侵入罪②強盗殺人罪が成立します。②と①は手段・目的の関係かつ両者は他の罪名であることから牽連犯となります(54条1項後段)。牽連犯の量刑処理は、54条1項に記されています。

 

第54条(一個の行為が二個以上の罪名に触れる場合等の処理)

1 一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。

 

牽連犯は「最も重い刑により処断される」ところ、住居侵入罪については「1月以上3年以下」の懲役又は「1万円以上10万円以下」の罰金であり、強盗殺人罪については死刑又は無期懲役であることから、今回は死刑又は無期懲役となります。

 

・まとめ

よって、Iの上記各行為は、住居侵入罪(130条前段)、強盗殺人罪(240条後段)にあたり、死刑又は無期懲役が科せられるということになります。

刑に関しては、犯行の動機や態様の他、特に被害者の数によって変わります。

 

 

大井警察署 〒140-0014 東京都品川区大井5丁目10-2 TEL:03-3778-0110

 

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