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福岡久留米 接見 強盗事件 | 刑事事件の弁護士ならあいち刑事事件総合法律事務所

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福岡久留米 接見 強盗事件

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 福岡支部

 

強盗罪の接見指定について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県久留米市に住むAさんは強盗罪の嫌疑で勾留されており、ご家族の依頼を受けて弁護士Bさんが逮捕後初回の接見に向かうことになりました。
一方勾留の際の取調べ中にAさんが「奪った時計は市内の公園に埋めている。」と供述したことから、久留米警察署の警察官KさんはAさん立会いの下で捜索を行うことを決定しました。
Kさんらが捜索に向かおうとした時点でBさんが警察署に現れ「今すぐにAさんと接見がしたい。」と告げたところ、それに対しKさんは「今からA立会いの下で捜索を行うから接見は認められない。それが終わってからなら可能なので、また後で来てください。」とだけ答えました。
Kさんによるこのような接見指定は適法といえるのでしょうか。
(この話は事実を基にしたフィクションです。)

 

 

~接見指定~

本件において警察官Kさんが弁護人の接見申し出に対して、接見時間を捜索が終わってからと指定しています。
このような接見指定は適法といえるのでしょうか。
被告人・被疑者との接見交通については刑事訴訟法39条1項で定められており、接見指定については同条3項で定められています。

刑事訴訟法39条1項 「身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人となろうとする者と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。」
3項 「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、捜査のため必要があるときは、公訴の提起前に限り、第1項の接見又は授受に関し、その日時、場所及び時間を指定することができる。但し、その指定は、被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するようなものであってはならない。」

 

 

ここで本件における接見指定が「捜査のために必要がある」といえるかが問題となります。
これについて接見交通権は憲法34条前段で定められた弁護人依頼権に由来する重要な規定といえるので、「捜査のために必要がある」は限定的に解釈するべきであると考えられています。
したがって原則として接見交通権は認められるべきであり、接見指定は例外的なものであると考えるのが一般的です。
過去の判例(最判昭和53年7月10日)では、「現に被疑者を取調中であるとか、実況見分、検証等に立ち会わせる必要がある等捜査の中断による支障が顕著な場合には、弁護人等と協議してできる限り速やかな接見のための日時を指定するべきである」と述べられました。

 

 

これを本問について見てみるとBさんが現れて接見を申し出た時点では、Kさんらは奪われた時計を見つけ出すためにAさん立会いの下で捜索を開始しようとしていました。
そして時計の隠匿場所についてはその他の証拠がある等の情報もないので、被疑者の供述が重要であり、接見を認めて捜索を中断することにより捜査に顕著な支障が生じると認められる可能性が高いです。
このように判断されると、本件では「捜査のために必要がある」と認められます。

もっとも、本件接見は逮捕後初めての接見申出になります。
このような場合に接見指定を行うことは刑事訴訟法39条3項における「被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するようなもの」にあたらないでしょうか。
ここで同項における「被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するようなもの」の意義が問題となります。

 

 

初回接見は弁護人の選任を目的とするものであり、被疑者が弁護人となろうとする者から助言を得る最初の機会です。
これは弁護人選任権を定めた憲法34条の出発点をなすものであり、これを速やかに行うことが被疑者の防御の準備のために特に重要であるといえます。
そこで過去の判例(最判平成12年6月13日)では「捜査機関としては~弁護人となろうとする者と協議して、即時又は近接した時点での接見を認めても接見の時間を指定すれば捜査に顕著な支障が生じることを避けることが可能なときには、留置施設の管理運営上支障があるなど特段の事情のない限り~たとい比較的短時間であっても、時間を指定した上で即時又は近接した時点での接見をすべき」と述べられました。
上記のように捜査に顕著な支障が生じることを避けられる場合に初回接見の機会を遅らせることは「被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するようなもの」にあたると考えられています。

 

 

これを本件について見てみると警察官はBさんの申し出に対して「今からA立会いの下で捜索を行うから接見は認められない。それが終わってからなら可能です。」と答えたのみであり、Bさんとの協議を一切行っていません。
そして本件では市内の公園で捜索を行う予定であるところ、Bさんに即時の接見を認めてもそれが短時間であれば捜査に顕著な支障が生じる恐れは少ないといえます。
したがって、本件での接見指定は「被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するようなもの」に当たると判断される可能性が高いです。
このように判断されると、かかる警察官の措置は違法となります。

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