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東京丸の内 逮捕 準強制性交等 | 刑事事件の弁護士ならあいち刑事事件総合法律事務所

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東京丸の内 逮捕 準強制性交等

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 東京支部

 

準強制性交等事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

 

2021年4月1日午後7時、東京都千代田区在住のZは、友人Jと千代田区の居酒屋で酒を飲みはじめた。Jは酒がめっぽう弱く、ビール1瓶で泥酔状態になるほどであり、かかる事情をZは知っていた。その後、店の閉店時間である午後9時に差し掛かる頃には、Jは泥酔状態になっていた。Zはこれに乗じてJと性交をすることを意図し、店を出た後近くのホテルにJを連れ込み、性交に及んだ。その間、Jは意識が朦朧としており、性交を拒むことが出来なかった。さらに、ZはJのバッグに財布が入っているのを見て、金目当てで財布を盗み、その場を去った。その後意識を取り戻したJはすぐさま丸の内警察に相談し、Zは丸の内警察に逮捕された。

この場合、Zは何の罪に問われるでしょうか。~フィクションです~

 

・準強制性交等罪が成立するか

性犯罪に関しては平成29年の法改正により法定刑などが大きく変更されました。今回取り扱う準強制性交等罪や強盗・強制性交等もその一つです。今回のケースでは、被害者が泥酔状態であるのに乗じ強制的に性交をし、さらに被害者の財布まで盗んだケースです。このような場合、どのような罪が成立するか、以下検討します。準強制性交等罪については刑法178条に記されています。

 

第178条(準強制わいせつ及び準強制性交等罪)

1 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。

2 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。

 

犯罪が成立するには、「構成要件に該当し違法且つ有責な行為」である必要があるので、構成要件に該当するか、から検討していきたいところですが、本件でのZの行為は、①Jの泥酔状態に乗じ性交をしたこと、②Jの財布を盗んだことの2つになるため、①から検討します。

第一に、「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて」ですが、「心神喪失」とは、精神又は意識の障害によって、正常な判断能力を喪失している状態を指し、「抗拒不能」とは、心神喪失以外の理由で、物理的・心理的に抵抗できない又は抵抗するのが著しく困難な状態にあることを指します。判例では、医者が必要な施術のように誤信させ性交した場合(大判大15・6・25)や、被害者が夢うつつで犯人を情夫と誤信しているのに乗じ性交した場合(仙台高判昭32・4・18)に本罪が該当すると判示しました。また、本条は「若しくは」や「又は」が多く分かりにくいのでまとめると、①心神喪失に乗じて性交を行う場合、②抗拒不能に乗じて性交を行う場合、③心神を喪失させて性交を行う場合、④抗拒不能にさせて性交を行う場合に分けられます。今回のケースでは、ZはJが泥酔状態になり物理的に抵抗できない状態に乗じ性交に及んだので、②の場合に当たるといえます。よって、Zの行為は「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて」に該当します。

第二に、「性交等をした者」ですが、「性交等」とは、性交、肛門性交、口腔性交を指します。なお、1項の「わいせつな行為」とは、被害者の性的羞恥心を害する行為を指します。具体的には、無理やりキスを迫る行為、全裸の写真を撮る行為、陰部に手を触れる行為などが挙げられます。今回のケースでは、Zは近くのホテルにて性交に及んだため、Zは「性交等をした者」に該当します。

次に、違法性と責任ですが、違法性に関しては正当防衛(36条1項)などの事実はなく、責任に関してもZは心神喪失者等でないので、①の行為に準強制性交等罪(178条2項)が成立します。

 

 

・窃盗罪か、強盗罪か、強盗・強制性交等か

 

次に②を検討します。今回問題となる窃盗罪については刑法235条、強盗罪については刑法236条1項、昏睡強盗罪については刑法239条、強盗・強制性交等罪については刑法241条に記されています。

 

 

第235条(窃盗)

他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

 

第236条(強盗)

1 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以下の有期懲役に処する。

 

第239条(昏睡強盗)

人を昏睡させてその財物を盗取したものは、強盗として論ずる。

 

第241条(強盗・強制性交等)

1 強盗の罪若しくはその未遂罪を犯した者が強制性交等の罪(第179条第2項の罪を除く。以下この項において同じ。)若しくはその未遂罪をも犯した時、又は強制性交等の罪若しくはその未遂罪を犯した者が強盗の罪若しくはその未遂罪をも犯したときは、無期又は7年以上の懲役に処する。

 

 

窃盗罪と強盗罪の違いは端的にいえば、窃盗の手段として「相手方の反抗を抑圧するに足りる程度」の「暴行又は脅迫」を用いたか否かによって決せられます。銀行強盗を例にすると、銀行の窓口にて「強盗だ。金を出せ。」と銃口を向けて金を奪う行為は、一般人であれば銃口を向けられたら「撃たれるかもしれない」と思い、「反抗を抑圧される」ので、かかる行為は「相手方の反抗を抑圧するに足りる程度」の「脅迫行為」といえ、さらに金を「強取」しているため、強盗罪に当たります。一方、銀行強盗としてではなく、自分の口座から金を引き出すために銀行に寄った際、前に並んでいる人のバッグから財布を盗む行為は、「暴行又は脅迫」を用いていないため、窃盗罪に当たります。ここで問題となるのは、単に暴行又は脅迫の意思で「暴行又は脅迫」をした後に、「財物を盗もう」と思った場合です。かかる意思を「事後的奪取意思」と呼びますが、この「事後奪取意思」が生じた場合の処理について一般的には、「新たな暴行又は脅迫があったか」によって判断しています。例えば相手の言動に腹が立ち、顔面を殴り相手が倒れた際、ポケットに財布があるのを見つけてこれを盗んだ場合、財布を盗む際に「新たな暴行又脅迫」がないので、強盗ではなく窃盗罪が成立するということです(最初の暴行には別途で暴行罪や傷害罪が成立します)。

 

 

判例(大阪高判平元・3・3)では、被害者を鉄パイプで殴打した後、財物奪取の意思が生じ、反抗抑圧状態に陥っていた被害者の顔面を手拳で殴打して財物を奪った事案において、「財物奪取以外の目的で暴行、脅迫を加え相手方の反抗を抑圧した後に財物奪取の意思を生じ、これを実行に移した場合、強盗罪が成立するというためには、単に相手方の反抗状態に乗じて財物を奪取するだけでは足りず、強盗の手段としての暴行、脅迫がなされることが必要である」と判示しています。なお本判決では加えて、その程度は「自己の先行行為によって作出した反抗抑圧状態を継続させるに足りる暴行、脅迫があれば十分であり、それ自体反抗抑圧状態を招来するに足りると客観的に認められる程度のものである必要ではない」と判示しています。

これは昏睡強盗の場合も同様です。「人を昏睡させ」るとは、一時的又は継続的に、相手方に意識喪失その他意識又は運動機能の障害を生じさせて、財物に対する有効な支配を及ぼしえない状態に陥らせることを言い、泥酔させるのは「人を昏睡させ」ることにあたります。ただし、この「人を昏睡させ」ることも財物奪取の目的でなされなければなりません。性交等財物奪取以外の目的で相手を昏睡させた後、財物奪取の目的を生じたとしても、昏睡強盗ではなく窃盗が成立します。

 

では、強制わいせつ罪・強制性交等罪と財物奪取が続いた場合はどうでしょうか。この場合、強制わいせつ・強制性交等→事後的奪取意思の発生→財物奪取の場合、「自己の先行行為によって作出した反抗抑圧状態を継続させるに足りる暴行又は脅迫」があれば、強制わいせつ・強制性交等と強盗が成立するということになります。そして、強制性交等の場合は強盗・強制性交等罪という罪となります。これは無期又は7年以上の懲役という非常に重い罪です。かつては強盗が強姦をした場合しかこの特別な規定はなく、強姦をした者が強盗した場合については併合罪として軽い懲役刑しか科せませんでしたが、被害者に多大な被害を与え犯罪が同一機会に行われている以上その前後の如何で刑罰の重さを変えるのは不当として、強盗と強制性交等の前後関係を問うことなく、強盗・強制性交等罪に改められました。この「強制性交等」には準強制性交等も含まれます。

もっとも、今回のケースでは、Zには当初はJの財物を奪取する意思は見受けられません。そうであれば、Zに昏睡強盗は成立しないでしょう。そして、ZはJが泥酔したままのところ財布を持ち去ったので、Zは「新たな暴行又は脅迫」をも行っていません。よってZがJの財布を持ち去ったことは強盗とはいえないでしょう。したがって、ZがJの財布を持ち去ったことについては窃盗罪の構成要件に当たります。

一方で、Zが最初からJの財布などの財物を奪取する意図をも持ってJを泥酔させたのであれば、Zには強盗・強制性交等罪が成立するでしょう。

今回ZはJの財布という「他人の財物」を、金目当てで「窃取」し、また、正当防衛(36条1項)などの事実はなく、責任に関してもZは心神喪失者等でないので、②の行為に窃盗罪(235条)が成立します。

なお、今回のケースとは異なり、Jが性交に同意していた場合や実は意識があり抵抗も可能であった場合は、準強制性交等罪が成立しない可能性があります。また改正前は告訴がなければ公訴を提起することが出来ませんでしたが、改正後は告訴無しで公訴の提起が可能になったため、今回のケースでは公訴の提起が可能です。

 

・刑罰について

では成立したとしてどのような刑罰が科せられるでしょうか。今回は①準強制性交等罪、②窃盗罪が成立し両者は併合罪となります(45条前段)。併合罪の量刑処理は刑法47条、48条1項に記されています。

 

 

第47条(有期の懲役及び禁錮の加重)

併合罪のうちの二個以上の罪について有期の懲役又は禁錮に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその二分の一を加えたものを長期とする。ただし、それぞれの罪について定めた刑の長期の合計の合計を超えることはできない。

 

第48条(罰金の併科等)

1 罰金と他の罪は併科する。ただし、第四十六条第一項の場合は、この限りではない。

 

準強制性交等罪については強制性交等罪の法定刑と同じなので、「5年以上20年以下」の懲役となり、窃盗罪については「1月以上10年以下」の懲役又は「1万円以上50万円以下」の罰金が科せられます。よって、両罪とも懲役が科せられる場合、期間に関しては「5年以上30年以下」、窃盗について罰金が科せられる場合には懲役が「5年以上20年以下」及び罰金が「1万円以上50万円以下」となります。

 

 

・まとめ

 

よって、Zの行為は準強制性交等罪(178条2項)と窃盗罪(235条)にあたり、「5年以上30年以下」の懲役、又は「5年以上20年以下」の懲役と「1万円以上50万円以下」の罰金が科せられるということになります。

刑に関しては初犯か、前科を持っているか、などによって変わります。

 

 

丸の内警察署 東京都千代田区丸の内3丁目8-1(仮庁舎) 03-3213-0110

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