0120631881 ムザイ ハヤイ 通話無料 即日対応/年中無休/24時間無料相談受付
メールでのお問合わせ

MENU

東京新宿 逮捕 傷害罪と正当防衛 | 刑事事件の弁護士ならあいち刑事事件総合法律事務所

刑事事件・少年事件に強いあいち刑事事件総合法律事務所へお任せください。

刑事事件あいち刑事事件総合法律事務所

0120631881 ムザイ ハヤイ 通話無料 即日対応/年中無休/24時間無料相談受付
メールでのお問合わせ

東京新宿 逮捕 傷害罪と正当防衛

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 東京支部

 

傷害罪と正当防衛について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

2022年1月5日午前5時頃、新宿区在住のX(50歳、男性、身長168cm、体重55kg)は、TOHOシネマズ新宿付近の居酒屋で、友人と酒を飲んでいた。午前5時半頃、二人は解散し、Xは始発に乗るため西武新宿駅に向かって歩いていたところ、エスパス新宿店沿いの脇道にて、Y(55歳、男性、身長180cm、体重80kg)と肩がぶつかった。Xは「すみません。」と言い、再び西武新宿駅に向かおうとしたが、Yから「帰ろうとしてんじゃねえぞ。」と言われ、後ろから背中を殴られた。いきなりの殴打にXは驚いたが、続けてYがXの顔面目掛けて拳を振りかざしていたので、Xは身を守るべくYの顔面を素手で殴打した。Xの殴打によりYは地面に倒れたが、その際エスパス新宿店の柱に頭をぶつけたため、Yは意識を失った。Xがその様子を見て立ち尽くしていたところ、巡回中の新宿警察署の警察官に職務質問され、Xはそのまま逮捕された。なお、Yはその後病院に運ばれたが、命に別状はなく、顔面と後頭部に全治2週間の怪我を負うにとどまった。

この場合、Xは何の罪に問われるでしょうか。(フィクションです)

 

・傷害罪の成否

突然の暴行に対する反撃手段として「正当防衛」というものがありますが、実際に正当防衛が成立するケースというのは、いかなる場合があるのでしょうか。今回のケースでは、いきなり背中を殴られ驚いていたところ、続けて顔面を殴られそうになったため、反撃し相手方が怪我を負った場合です。この場合、どのような罪が成立するのか、以下検討します。今回問題となる傷害罪は、刑法204条に記されています。

 

第204条(傷害)

人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 

犯罪が成立するには、「構成要件に該当し違法且つ有責な行為」である必要があるので、構成要件に該当するか、から検討します。

第一に、「人の身体を」です。これは自然人、つまり会社などではなく我々人間の身体が客体になるということを指しています。今回のケースでは、怪我を負った客体はYの顔面と後頭部なので、「人の身体を」に該当します。

 

第二に、「傷害した者」です。「傷害」とは、「人の生理的機能に障害を加える」ことをいいます。判例で傷害罪に当たると認められた例としては、胸部の疼痛、精神興奮と筋肉激動による脳出血、病毒の感染、長時間の失神状態、キスマークなどが挙げられます。また、本条では、傷害の方法に限定を加えていないため、傷害の結果を生じさせることができるのであれば、方法は有形無形を問いません。例えば、嫌がらせ電話によって、被害者をノイローゼにさせる行為は、行為者の故意が認められれば、傷害罪が成立するということです。今回のケースでは、Xの顔面殴打により、Yは意識を失い、全治2週間の怪我を負いました。よって、Yの生理的機能を害しているといえるので、Xは「傷害した者」に該当します。

以上より、Xの殴打行為は傷害罪の構成要件に該当するといえます。

 

・正当防衛の成否

次に、Xの殴打行為に正当防衛が成立する場合、違法性が阻却され、Xは何ら罪を負いません。正当防衛については、刑法36条に記されています。

 

第36条(正当防衛)

1 急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。

2 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。

 

1項は正当防衛についての規定であり、2項は過剰防衛について記されています。今回は1項を検討します。

第一に、「急迫不正の侵害」です。「急迫」とは、「法益の侵害が現に存在しているか、又は押し迫っていること」をいいます。つまり、行為時に法益侵害の危険が具体的に切迫していることが必要です。例えば、銃弾が装填されているピストルを向けられている場合、身体又は生命に対する危険がまさに切迫している状況にあるといえます。「不正」とは、違法であることをいいます。先ほどの例でいうと、何の理由もなく人を殺すために銃を向ける行為は明らかに違法性を有する行為といえます。今回のケースでは、肩がぶつかった原因がX・Yどちらにあるかは分かりませんが、Xが意図して行ったものとはいえず、Yが無視されたからといって人の背中を殴る行為、加えて顔面を殴ろうとする行為はXが招いたものではなくどちらも違法性を有する行為といえます。また、Yは背中を殴った後、これで終わることなく顔面目掛けて拳を振りかざしており、一般人から見ても客観的にXの身体又は生命に危険が差し迫っているといえ、Xとしてもいきなりの殴打行為に対して身を守るべく上記行為に及んだので、主観的にも危険が差し迫っているといえます。よって、「急迫不正の侵害」に該当します。

 

第二に、「自己又は他人の権利を防衛するため」です。これは、「防衛の意思」が必要であることを意味しており、「防衛の意思」とは、「急迫不正の侵害を認識しつつ、それに対応しようとする意思」をいいます。ここで問題になり得るのは、「攻撃の意思」とが併存していた場合です。例えば、AがBに顔面を殴られ、Bが再度殴ろうとした際に、Aが身を守るのと同時に、怒りからBを攻撃するべく殴ろうとした場合です。このような場合、必ずしも防衛の意思を欠くものではないとされています。理由として、防衛行為をする場合、性質上、興奮・逆上して反射的に行うことが多いからです。もっとも、防衛に名を借りて積極的に攻撃を加える場合には、防衛の意思が欠くとされます。したがって、かかる判断は事案ごとになされるということになります。今回のケースでは、Xの殴打行為は、YがXの顔面目掛けて拳を振りかざしてきたのに対し、Xは身を守るべくYの顔面を素手で殴打しており、「急迫不正の侵害を認識しつつ、それに対応しようとする意思」があるといえます。よって、「自己又は他人の権利を防衛するため」に該当します。

 

第三に、「やむを得ずにした」です。「やむを得ずにした」とは、防衛行為が侵害行為を排除するために相当な手段であったか、すなわち権利の防衛のために必要かつ十分のものであったかによって判断されます。具体的な考慮要素としては、侵害行為と防衛行為に用いられた道具の性質、侵害者と防衛行為者の性別、年齢、力量等が挙げられます。今回のケースでは、Y(侵害者)とX(防衛行為者)の性別は両者ともに男性であり、年齢差も5歳とあまり変わらず、どちらも素手で行っています。一方、YはXより12㎝も身長が高く、体重も25㎏重いので、かかる体格差は比較的大きく、また、発言を無視されたからといって突然背中を殴り、続けて顔面を殴ろうとするYの性格に鑑みると、防衛行為に出なければその後も暴行が続く可能性が高いといえます。以上の事実を考慮すると、Xがとっさに行った殴打行為は、Yの侵害行為を排除するために相当な手段であるといえ、「やむを得ずにした」に該当します。

 

なお、Xの殴打によりYは地面に倒れたが、その際店の柱に頭をぶつけたため、Yは意識を失い、顔面と後頭部に全治2週間の怪我というかなり重い怪我を負っています。これについては、Xの反撃行為が相当である以上、たまたま生じた結果が重くなったとしても、「やむを得ずにした」ことは否定されません。

以上より、正当防衛が成立し、違法性が阻却されます。

 

なお、仮にXがナイフで反抗した場合や、Xが殴打してYが動かなくなった後に怒りからYの顔面を蹴り飛ばした場合には、正当防衛が成立せず、過剰防衛、あるいは傷害罪が成立する可能性があります。

 

・まとめ

よって、Xの上記行為は傷害罪にあたるものの、正当防衛が成立し違法性が阻却されるため、Xは何ら罪を負いません。

 

 

新宿警察署 〒160-0023 東京都新宿区西新宿6丁目1-1 TEL:03-3346-0110

ピックアップコラム

あらゆる刑事事件に精通しています!

  • 脅迫・暴行罪

    脅迫・暴行罪

  • オレオレ詐欺

    オレオレ詐欺

コラム

Top