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東京都千代田区 逮捕 公然わいせつ事件 | 刑事事件の弁護士ならあいち刑事事件総合法律事務所

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東京都千代田区 逮捕 公然わいせつ事件

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 東京支部

 

公然わいせつについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。2020年6月、東京都千代田区在住のRは、東西線の飯田橋駅から高田馬場駅間の電車内で自らの性的欲求を満たすため、下半身を2時間にわたり露出した。最初はコロナ禍の影響で人が乗っていなかったが、露出し30分後から徐々に混雑していった。不快に感じたOが飯田橋駅に降りてすぐに千代田警察署に通報した。
この場合、Rは千代田警察署に逮捕されるのでしょうか。。

・公然わいせつ罪

公然わいせつ罪について、刑法174条に記されています。

第174条(公然わいせつ)
公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

今回は強制性交等罪などと異なり、具体的に誰かに向けて犯罪を行っていません。この場合は果たして逮捕されるのでしょうか。刑法では、このような場合であっても、罰せられます。そして今回のケースでは、公然わいせつ罪に当たるといえます。
では公然わいせつ罪について詳しくみていきます。【ケース1】で説明したように、犯罪が成立するには「構成要件に該当し違法且つ有責な行為」である必要があります。今回も【ケース2】を交えながら説明します。
まず構成要件について検討します。公然わいせつ罪の条文をみると、「公然と」「わいせつな行為をした」の大きく二つの要素に分かれているので、それぞれ考えてみましょう。第一に、「公然と」ですが、これは判例では「不特定又は多数人が認識できる状態」と定義されています。つまり、不特定であれば少人数でもよく、多数であれば、特定人の集まりでもよいのです。認識できるということなので、実際に認識する必要はなく、その可能性があれば充分ということです。今回は混雑していった時間は勿論、下半身を露出し始めた最初の30分も、誰かが電車内に乗った瞬間に見るかもしれないですし、窓に向けてしていたとしたら、ホームにいる人も見るかもしれませんので、公然とにあたります。第二に、「わいせつな行為をした」についてですが、本条のわいせつな行為とは、「その行為者又はその他の者の性欲を刺激興奮又は満足させる動作であって、普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するもの」をいいます。これだけでは抽象的で理解をするのは中々難しいので、簡単に説明すると、一般人からみてわいせつな行為であれば罰せられるということです。具体例を出すと、一番多いのは性器の露出です。一般人であれば、普段人前で性器を露出するということはしません。よって、今回は電車内で下半身を露出しているので、わいせつな行為にあたります。
次に、違法ですが、【ケース1】同様に、正当防衛(36条1項)などの事実はないので、違法性を有するといえます。
最後に、責任ですが、Rは心神喪失者等でないので、責任があるといえます。

・刑罰について

以上見てきたことをまとめると、Rの行為には公然わいせつ罪が成立するといえそうです。では、成立したとして、どのような刑罰が科せられるでしょうか。本条では、「6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する」とあります。「又は」や「若しくは」が多いので分かりづらいと思いますので、説明していきます。
まずは刑の軽重を考えてみましょう。日本の主刑は6つあります。そしてその軽重は、 死刑>懲役>禁錮>罰金>拘留>科料 となっています。死刑が一番重く、科料が一番軽い罪となりますが、ただし無期の禁錮と有期の懲役では禁錮を重い刑とし、また、有期の禁錮の長期が有期の懲役の長期の二倍を超える時も禁錮の方を重い刑とします。酌量減軽の話などは別の記事で解説します。
では、実際に本条の罰則をみてみましょう。第一に、「6月以下の懲役」とあり、また、【ケース1】で解説したのと同様に、有期の懲役は1月以上20年以下とされているので(12条1項、13条1項)、1月以上6月以下の懲役となります。
第二に、「30万円以下の罰金」ということなので、これも【ケース1】同様、罰金は1万円以上なので(15条)、1万円以上30万円以下の罰金となります。
第三に、「拘留」です。拘留とは、1日以上30日未満の刑期で受刑者を刑事施設に拘留することをいいます(16条)。ここで注意しなければならないのが、「勾留」と混同してはならない点です。勾留については別の記事で解説しますが、簡単に触れておくと罪証隠滅・逃亡を防止するための身柄拘束処分です。つまり実刑の前段階と言ってもいいでしょう。
最後に、「科料」です。科料は、罰金と似ていますが、金額が違います。科料は、1000円以上1万円未満です。
以上で刑罰の説明は終わりますが、「又は」と「若しくは」の区別がつかない方がいると思いますので、本条を使って説明すると、①〔6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金〕又は②〔拘留若しくは科料〕となります。つまり①か②が決定され、その後その中で刑が決まるということです。

・まとめ

よって、Rは公然わいせつ罪(174条)にあたり、1月以上6月以下の懲役若しくは1万円以上30万円以下の罰金、又は拘留若しくは科料が科せられるということになります。
刑に関しては、初犯か前科を持っているかによって変わります。

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