東京都練馬区 逮捕 強制性交等
- 2021.02.25
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弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 東京支部
強制性交等罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
東京都に住む会社員男性のAさん(28歳)は、長年交際していた練馬区に住むVさん(27歳)から突然別れ話を切り出されました。これに納得がいかなかったAさんは、Vさんを説得しようとVさんから断られていたにもかかわらずVさんアパートに押し掛けました。そして、Aさんは、玄関ドア越しに「お前の裸の写真を持っている。」「ドアを開けなければ写真をネット上にばらまくぞ。」と言って脅してVさんに玄関ドアを開けさせ、いきなりVさんをその場に押し倒してVさんに性交しました。その後、Aさんは、練馬警察署に住居侵入、強制性交等罪で通常逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
~強制性交等罪~
強制性交等罪は刑法177条に規定されています。
(強制性交等)
第百七十七条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有機懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
かつて強姦罪と呼ばれていた犯罪の構成要件や罰則が改正され新設された犯罪が強制性交等罪です。
強姦罪から改正された点は、
● 保護の対象者が女子のみならず、男子も含まれることになった=女子→男子、男子→男子という犯罪類型も処罰対象となった
● 処罰対象の行為が性交(強姦罪では「姦淫」)のみならず、肛門性交、口腔性交も含まれた
● 罰則が「3年以上の有期懲役」から「5年以上の有期懲役」に引き上げられた=実刑が原則となった
● 非親告罪ではなくなった=検察官は被害者の告訴がなくても起訴できるようになった
という点です。
その他、強制性交等罪の構成要件は強姦罪とほぼ変わりません。
強制性交等罪の暴行は殴る、蹴る、叩く、押し倒す、羽交い絞めにする、馬乗りになる、縄などで縛るなどが典型です。また、脅迫は人を畏怖させる程度の何らかの害を加えることを告げることをいいます。強制性交等罪の暴行、脅迫の程度は、人の反抗を著しく困難にする程度のもので足りると解されていますが、実際には、相手方に抵抗されることが多いため、人の反抗を困難にする程度の暴行、脅迫が行われることが多いです。
強制性交等の処罰対象となる行為は、前述のとおり、性交のほかに、肛門性交(アナルセックス)、口腔性交(オーラルセックス)も含まれます。性交とは膣内に陰茎を入れる行為、肛門性交とは肛門内に陰茎を入れる行為、口腔性交とは口腔内に陰茎を入れる行為をいいます。
行為者が自己又は第三者の陰茎を被害者の膣内、肛門内、口腔内に入れる行為(加害者:男性、被害者:女性又は男性)だけでなく、自己又は第三者の膣内、肛門内、口腔内に被害者の陰茎を入れる行為(加害者:女性又は男性、被害者:男性)も含まれます。
~住居侵入罪~
住居侵入罪は刑法130条前段に規定されています。
(住居侵入等)
第百三十条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物(略)に侵入し(略)た者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
「侵入」とは管理者、本件の場合、Vさんの意思に反する立入り行為をいうとされています。AさんがいくらかつてVさんと交際していたとはいえ、行為時には、Vさんから別れを切り出されている上、Vさんから自宅アパートに来ないよう断られてたことなどからすれば、Aさんの立ち入り行為が「侵入」に当たることは明らかでしょう。
なお、住居侵入罪と強制性交等罪の双方が成立し、双方が手段と結果の関係にある場合は、刑の重たい強制性交等罪で処罰されます。
~今後の流れと弁護活動~
強制性交等罪を疑われれば、逮捕、勾留される可能性が高いといえます。強制性交等罪は刑自体が重たい上に、立証上、被害者の供述(話)が重要な証拠となりうるところ、加害者を釈放してしまえば、何らかの形で被害者に接触して被害者に被害届を取下げさせたり、被害者の供述を自分に有利な供述に変えるなどの「罪証隠滅行為」に出るおそれが高いと考えられるからです。
また、起訴され、刑事裁判で「有罪」と認定されれば、高い確率で「実刑」となるおそれがあり、その裁判が確定した後は、刑務所に服役しなければならなくなります。執行猶予付き判決を受けるには、裁判で「3年以下の懲役」の言い渡しを受ける必要がある(刑法25条1項)ところ、強制性交等罪は最低が「懲役5年」だからです。
強制性交等罪の弁護活動は、被疑者・被告人が事実を認める場合は、被害者との示談交渉が中心です。
上記のとおり、強制性交等罪で起訴され、裁判で有罪認定を受けると高い確率で「実刑」となりますから、起訴される前に示談を成立させ、起訴自体を回避することを目指します。
事実を認めない場合は、被害者の供述の信用性が争点となりますから、被害者の供述の信用性に疑いを挟む事実・証拠を収集するなどして、まずは処分を決める検察官に意見書などを提出して不起訴獲得を目指します。仮に、裁判になった場合は、被害者の供述の信用性を争い、無罪獲得を目指します。