東京渋谷 逮捕 喧嘩
- 2022.12.24
- コラム
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部
喧嘩と正当防衛弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
【事例】
XさんとYさんは、渋谷駅付近の繁華街の路上で、酒に酔った勢いで喧嘩になりました。
XさんとYさんは、しばらく口論をしていましたが、Yさんが突然隠し持っていたナイフで切りかかってきたので、とっさに足元に落ちていた割れたコンクリートブロックを拾って投げつけたところ、ブロックはYさんの顔面をかすりました。
そのため、Yさんは全治2ヶ月の傷を負ってしまいました。
Xさんは渋谷警察に逮捕されました。
※ストーリーは事実に基づいたフィクションです。
Xさんが、Yさんに対して割れたコンクリートブロックを投げつけ、全治2ヶ月の傷を負わせた行為は傷害罪(刑法204条)に該当します。
もっとも、Xさんのかかる行為はYさんが突然隠し持っていたナイフで切りかかってきた事に対するものであり、正当防衛(刑法36条1項)が成立し無罪とならないでしょうか?
ポイントは喧嘩のような両者に非があるような場面(いわゆる自招侵害)の場合にも正当防衛が認められるかという点がキーとなります。
【解説】
正当防衛は、刑法36条1項にあります。
刑法36条1項 (正当防衛)
急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
犯罪が成立するためには、行為が、構成要件 (犯罪が成立するための要件)に該当し、その行為が罪にというる違法な行為(可罰的違法性)である必要があります。
正当防衛に当たる場合、違法性がないことになり、犯罪が成立しないことになります。
正当防衛が成立する要件は、条文から、①「急迫不正の侵害」、②「防衛するため」、③「やむを得ずにした行為」、の要件をクリアしている必要があります。
まず、Xさんの行為はYさんがナイフで切りかかってきた事によるものであり、①「急迫不正の侵害」があるといえます。
また、Xさんは当然防衛の意思を有するといえ②「防衛するため」であるといえます。
コンクリートブロックを投げる行為もナイフで襲いかかってくる行為の対応としては③「やむを得ずにした行為」と言えるでしょう。
しかし、Yさんの行為はXさんとの喧嘩で口論となっていた事によるものであり、Yさんの行為はXさんが招いた侵害とも評価されます(自招侵害)。
このような両者に非がある喧嘩の場合には、正当防衛が認められないと思うかもしれません。
しかし、喧嘩のような自身にも非がある場合でも、何らかの反撃行為に出ることが社会的に正当とされる状況にある場合には正当防衛が成立すると考えられています(最決平成20・6・25参照)。
本件事例では、殺傷能力のあるナイフで切りかかってこられたので、反撃行為にでることは社会的に正当と評価できる状況にあります。
そして、Yさんはナイフを隠し持っていたのであり、このようなYさんの行為はXさんには予期することが困難だったでしょう。
そのため、Xさんが反撃行為に出ることは社会で期に正当とされる状況にあると評価でき、正当防衛が成立するでしょう。
【まとめ】
刑事事件は早い段階での問題着手が事態を悪化させないために最も重要なことです。
喧嘩などの傷害事件でお困りの方、正当防衛を主張して無罪を勝ち取りたいという方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。