SNSにわいせつ画像・動画をアップする行為は違法?
- 2023.03.15
- コラム
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 東京支部
SNSにわいせつな画像や動画をアップする行為は違法なのかについて、事例をもとに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
【事例】
東京都新宿区に住んでいる会社員A(31)が、SNSに自身の性器の画像や動画を無修正で複数枚アップロードしたとして、わいせつ電磁的記録媒体陳列罪の疑いで、警視庁新宿警察署から任意の取り調べを受けました。
警察の取り調べに対し、Aは「自分でアップロードしたもので間違いない」と容疑を認めています。
(※この事例はフィクションです。)
【わいせつ電磁的記録媒体陳列罪とは】
わいせつ電磁的記録媒体陳列罪とは、わいせつ物頒布等罪の中に分類される罪名を指します。
わいせつ物頒布等罪については、刑法第175条で規定されています。
刑法第175条:わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。
同条第2項:有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。
刑法上における「わいせつ」の定義は難しく、判例では「①いたずらに性欲を興奮又は刺激せしめ、②普通人の正常な性的羞恥心を害し、③善良な性的道義観念に反するもの」と、わいせつを定義しています。
上記3つの要件を満たすことで「わいせつ」であると判断されますが、これらの判断基準は曖昧で、より具体的な判断基準は明記されていません。
つまり、「わいせつ」であるかどうかは、裁判所が社会通念や良識に従って、その都度判断しているということです。
わいせつであるかの判断は難しいことを説明しましたが、今回の事例のように、自身の修正されていない性器の画像や動画については、上記①②③に該当する可能性が高いため、わいせつ物として認められます。
【わいせつ物頒布罪が成立する行為】
わいせつ物頒布罪が成立する行為には、以下の3つがあります。
頒布:不特定多数の人に交付する行為(有償・無償は問わない)
公然と陳列:不特定多数の人が見れる状態にする行為
販売目的での所持:有償で頒布(=販売)する目的で所持している行為
わいせつ画像・動画を、SNS上で不特定多数の人に送る行為は「頒布」に該当して、わいせつ電磁的記録媒体頒布罪が成立します。
わいせつ画像・動画を、SNS上にアップロードして不特定多数の人が視聴できる状態にする行為は「公然と陳列」に該当して、わいせつ電磁的記録媒体陳列罪が成立します。
また、わいせつ画像・動画を販売する目的で所持している場合も、わいせつ物頒布罪が成立します。
ただし、販売するつもりはなく所持している場合は、わいせつ物頒布等罪は成立しません。(※児童ポルノ画像・動画は所持しているだけで違法です。)
今回の事例では、わいせつな画像・動画(修正されていない自身の性器)をSNS上にアップロードして、不特定多数の人が見れるような状態になっているので、公然と陳列する行為に該当しています。
【わいせつ物頒布等罪の刑事弁護活動】
わいせつ物頒布等罪という刑事事件を起こしてしまい、検察官から起訴されてしまうと、裁判にかけられてしまう可能性があります。
起訴されて、罰金刑や公判請求されてしまうと、前科がついてしまうので、今後の生活にも影響が出てしまう可能性があります。
前科を避けるためには、弁護士に依頼をして、不起訴処分を獲得できるよう弁護活動を行ってもらうのが得策です。
わいせつ物頒布罪について、不起訴処分を獲得するための詳しい弁護活動については、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のフリーダイヤル(0120-631-881)まで、まずはご連絡ください。