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千葉 無料相談 替え玉事件は何罪に問われるか | 刑事事件の弁護士ならあいち刑事事件総合法律事務所

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千葉 無料相談 替え玉事件は何罪に問われるか

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 東京支部

 

替え玉事件と私文書偽造等罪について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

 

2021年2月、Uは私立大学であるW大学の入学試験において、友人Oの替え玉受験を行うために、Oの承諾を得て、解答用紙の氏名欄にOの氏名を記入し答案を作成した。試験監督であるLは、試験を受けている者(U)と学生証(O)の顔写真が異なると思ったため、試験終了後Uに身分証明書を提出させたところ、替え玉受験を行なっていたことが判明した(フィクションです)。

この場合、Uは何の罪に問われるでしょうか。

 

・替え玉受験に適用される罪名は何か

 

最近ニュースでよく取り上げられている替え玉受験とは、一般的に入学試験受験者が入学予定者の氏名を用いて答案を作成することをいいますが、この場合、刑法上処罰される可能性があります。今回のケースは友人のために替え玉受験を行なうものの、試験終了後すぐさまバレてしまったケースです。この場合、どのような罪は成立するのか、以下検討します。替え玉受験は、他人の名前で答案を作成しているので、文書偽造といえそうです。この犯罪については刑法159条に記されています。

 

第159条
1 行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、3月以上5年以下の懲役に処する。
2 他人が押印し又は署名した権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。
3 前2項に規定するもののほか、権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を偽造し、又は変造した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

 

犯罪が成立するには、「構成要件に該当し違法且つ有責な行為」である必要があるので、構成要件に該当するか、から検討します。今回は1項を検討します。

 

第一に、「行使の目的」ですが、「行使」とは偽造・変造又は虚偽作成に係る文書を、真正文書若しくは内容の真実な文書として他人に認識させ、又は認識し得る状態に置くことをいいます。そしてその目的を達するために、「他人の…」以下の行為が必要であるということです。このような行為者の内心に関わる要素を「主観的構成要件要素」といいます。この「主観的構成要件要素」は一般的に「客観的構成要件要素」の後に検討されます(「客観的構成要件要素」について他の記事で解説します)。今回は便宜上最初に検討します。今回のケースでは、Uは友人0のために替え玉受験を行なったので、Uに「行使の目的」があるといえます。

 

第二に、「他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者」ですが、条文自体かなり長いので分けて説明します。まずは①他人の…偽造した場合と、②偽造した他人の…偽造した者に分けられ、両者の区別は行為者自身が客体を偽造したか、によって決せられます。今回のケースはU自身が解答用紙にOの氏名を書いたので①のケースです。次に①の中を分けると、他人の『印章or署名』を使用して『権利、義務or事実証明』に関する『文書or図画』というようになります。これを今回のケースに形式的に当てはめると、Oの『署名』を使用して『事実証明』に関する『文書』を偽造した場合に、本条に該当するということになります。ここで問題になるのが、2つあります。

 

1つ目は、本件の解答用紙が「事実証明に関する文書」にあたるか、です。この点判例では、私立大学職員が替え玉受験となる大学生と共謀して解答用紙を偽造した事案において、「本件入学選抜試験の答案は、試験問題に対し、志願者が正解と判断した内容を所定の用紙の解答欄に記載する文書であり、それ自体で志願者の学力が明らかになるものではないが、それが採点されて、その結果が志願者の学力を示す資料となり、これを基に合否の判定が行われ、合格の判定を受けた志願者が入学を許可されるのであるから、志願者の学力の証明に関するものであって『社会生活に交渉を有する事項』を証明する文書に当たると解するのが相当である」と判示しています。よって本件の解答用紙も「事実証明に関する文書」に該当するといえます。

 

2つ目は、Uの行為が「偽造」にあたるか、です。本条の偽造とは「文書の名義人と作成者の人格の同一性を偽ること」をいいます。そして「名義人」は、「文書を受け取った一般人において、当該文書の記載内容、形式、性質等から、誰の意思・観念が記載されている文書であると認識するのか」という基準で判断され、「作成者」とは「文書の内容を表示させた意思の主体」であると一般的に解せられています。このことから名義人の承諾がある場合は、人格の同一性があるといえることになります。今回のケースでは、Uは替え玉受験をするのに際しOの承諾を得ていることから人格の同一性があるといえ、「偽造」に当たらないということになりそうです。しかし、文書の性質上、その名義人自身による作成だけが予定されているものについては別に考える必要があります。この点判例では替え玉受験が行われることにつき何らかの認識があり、『承諾』があったとしても、文書の作成名義人と現実の作成者との人格の同一性について欺罔が存する場合には、その目的のために与えられた『承諾』を有効と認めるべきではないことは当然であるなどと判示しています。よってUの行為は「偽造」に該当するといえます。
次に、違法性と責任ですが、違法性に関しては正当防衛(36条1項)などの事実はなく、責任に関してもUは心神喪失者等でないので、以上見てきたことをまとめるとUの行為に私文書偽造罪(159条1項)が成立するといえそうです。
なお、替え玉受験も事案や学説によっては、業務妨害罪や建造物侵入罪が成立する余地があるので注意してください。

 

・刑罰について

では成立したとしてどのような刑罰が科せられるでしょうか。本条では、「3月以上5年以下の懲役に処する。」と書かれています。よって期間に関しては「3月以上5年以下」となります。

 

・まとめ

よって、Uの行為は私文書偽造罪(159条1項)にあたり、「3月以上5年以下」の懲役が科せられるということになります。
刑に関しては初犯か、前科を持っているか、などによって変わります。

 

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