兵庫県西宮市 無料相談 示談強要で強要罪
- 2019.12.21
- コラム
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 神戸支部
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 神戸支部が解説します。
兵庫県西宮市に住む会社員のAさんは会社の飲み会で同僚とお酒を飲んだ際、同僚の一人であるVさんと日頃の仕事のやり方を巡って口論となり、Aさんの胸ぐらを掴んでVさんを床に押し倒しました。そのとき、他の同僚がAさんとVさんの間に割って入って自体は沈静化しました。しかし、AさんはVさんから示談しなければ兵庫県西宮警察署に被害届を退出する、と言われたことから、Vさんと直接示談交渉を始めました。しかし、示談交渉はうまくいかず、AさんはVさんに「はやく示談しろよ。」「こちらも迷惑なんだよね。」などというメールを送ったところ、Vさんから「示談の強要だよね?」「強要罪で西宮警察署に被害届を提出する。」などと言われてしまいました。示談や強要罪について知りたいAさんは、刑事専門の弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです。)
~ 示談とは ~
「示談」とは、裁判外(話し合い)で、紛争の当事者同士の合意によって事件を解決することをいいます。広い意味で和解といいます。
示談を成立させると、当事者は合意した内容に法的に拘束されます。
つまり、たとえば「AさんがBさんに金10万円を払え。」という内容の合意をした場合は、AさんはBさんに10万円を支払う義務が生じます。そして、仮にAさんがBさんに10万円を支払わなかった場合は、Aさんはこの示談書を基に財産を強制的に差押えられるなどの強制執行を受ける可能性もあるのです。
他方で、上記内容は、「AさんがBさんから合意した金額以上の額を請求されることはない。」という意味も含まれています。
なお、暴行罪の示談金は5万円から20万円が相場で、10万円前後に落ち着くことが多いのではないかと思われます。
~ 示談交渉は弁護士を入れなくてもできる? ~
示談は、紛争当事者話し合いによって解決するものですから、示談交渉は紛争の当事者同士(加害者、被害者)で進めていくことも可能です。
しかし、法律の素人である当事者同士では、そもそも感情の縺れなどから示談交渉を進展させることが難しいでしょうし、仮に進展させることができたとしても、有効に示談が成立したかどうかも不明な場合もあります。これではのちのちのトラブルにも発展しかねません。
示談交渉を円滑、適切に進めていくためには弁護士の力を借りた方が無難でしょう。
~ Aさんは強要罪に問われる? ~
AさんはBさんから強要罪で警察に被害届を出す、と言われています。
Aさんは強要罪に問われることはあるのでしょうか?
強要罪は刑法223条に規定されています。
刑法223条1項
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。
先ほどもご説明したとおり、示談は紛争当事者の話し合い、合意の上で成立するものです。
したがって、Bさんに示談に応じる義務は何らありませんから、これを強要した場合は「人に義務のないことを行わせた」ことに当たるでしょう。
しかし、強要罪は脅迫、暴行を手段とする犯罪です。
脅迫にあっては「生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知」をしなければなりません。
この点、AさんはBさんに「はやく示談しろよ。」「こちらも迷惑なんだよね。」とは言っていますが、これからだけでは「生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知」したかどうかは不明です。
したがって、Aさんが強要罪に問われる可能性は低いと思われます。
しかし、「生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知」するはっきりとした文言がなくても、メールの前後関係からそうだととらえられても仕方のないやり取りがある場合は、やはり「生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知」したことに当たる場合もあります。
強要罪に当たるかどうか不安な方もまずは弁護士に相談しましょう。