埼玉県草加市 無料相談 器物損壊事件で告訴阻止
- 2020.03.23
- コラム
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 さいたま支部
器物損壊事件の告訴提出を阻止について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 さいたま支部が解説します。
逮捕前の器物損壊罪と告訴阻止について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。
埼玉県草加市のアパート2階に住むAさんは、自身の部屋の真上の3階に住むVさん家族の子どもたちが夜中騒ぎ、天井の振動で眠れなくなっていました。そこで、AさんはVさん家族に嫌がらせをしてやろうと、Vさんが所有する車の窓ガラスに向かって石を投げつけ窓ガラス2枚を割りました。その後もAさんはVさんの車に嫌がらせを繰り返していたところ、Aさんがある日、千枚通しを使ってVさんの車を傷つけたところを車の陰に潜んでいたVさんに目撃されてしまいました。AさんはVさんから「これまでのあなたの行為はドライブレコーダーに記録してある。」「今回のことも含めて警察に告訴されたくなかったら示談して欲しい。」「ご近所通しなので事を穏便に済ませたい。」と言われました。Aさんはどうしていいのか困り、器物損壊罪に詳しい弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです)
~ 器物損壊罪 ~
人の物を壊す行為は器物損壊罪に当たる可能性があります。
器物損壊罪は、刑法261条に規定されています。
刑法261条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
「前三条に規定するもの」とは公用文書等(刑法258条)、私用文書等(刑法259条)、建造物等(刑法260条)を指します。ですから、器物損壊罪の対象(客体=「他人の物」)とは、これら以外の有体物ということになります。ちなみに、動物も「物」に含まれます。
器物損壊罪では、壊すことを「損壊」という言葉で表現しています。「損壊」とは物理的な毀損・破壊行為のみならず、ひろく物の本来の効用を失わせる行為を含むと解されています。
以上を本件についてみると、車はまさに「他人の物」に当たりますし、車の窓ガラスを割る行為や千枚通しで車を傷つける行為は「損壊」に当たります。
したがって、Aさんは器物損壊罪に問われる可能性が高いといえます。
~ 告訴状を提出されたら ~
告訴状を捜査機関(警察、検察)に提出されると、捜査機関に事件のことが発覚してしまいます。
捜査機関は告訴状を受理すると捜査を開始しなければなりません。
捜査機関が捜査を開始すると、Aさんは警察官の取調べなどを受けることになるでしょう。また、最悪の場合、逮捕されてしまうおそれもあります。
今回はAさんはVさんから「告訴状を提出しますよ。」との最後通告を受けていますが、被害者がそうした通告を加害者にする義務はありませんから、何らの通告もないまま捜査機関に告訴状が提出される場合もあります。
そうすると、加害者の知らないところで捜査が進められ、ある日突然逮捕、という事態も考えられるわけです。
~ 告訴状提出を阻止するには ~
器物損壊罪は、告訴がなければ公訴を提起する(起訴する)ことができない親告罪(刑法264条)です。
刑法264条
第259条、第261条及び前条の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
起訴することができなければその罪について捜査したとしてもムダです。
ですから、被害者からの告訴が見込めない事件については、通常、取調べを受けたり逮捕されることはありません。
捜査機関に事件が発覚する前は、できる限り被害者と示談交渉して示談を成立させましょう。
被害者との示談を成立させ、告訴状の提出を阻止することができれば事件が捜査機関に発覚することはありませんし逮捕されることもありません。
しかし、被害者との示談交渉は、本人やその家族が直接しないほうがよいでしょう。
まず、示談交渉するにはそもそも被害者に示談交渉のテーブルにのっていただく必要があります。
しかし、本件のように、仮に被害者の特定が容易な場合でも、直接交渉では被害者に示談交渉のテーブルにのっていただく可能性は低いでしょう。
ですので、弁護士を代理人とし、被害者との示談交渉を行うのが一般的です。
刑事事件を起こし被害者との示談交渉にお困りであれば、刑事事件に精通する弁護士に任せるのがよいでしょう。