東京荒川 逮捕 親告罪の刑事弁護
- 2021.06.30
- コラム
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 東京支部
器物損壊罪,親告罪の刑事弁護について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
Aさんは、荒川区のVさん方駐車場に停めてあったVの車に、持っていたカッターナイフで傷をつけました。Vさんは警察に告訴状を提出し、捜査の結果、Aさんは器物損壊罪で荒川警察署に逮捕されました。Aさんの親は対応に困り、弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです)
~親告罪~
親告罪とは、被害者等の告訴権者(※)の告訴(※)がなければ検察官が起訴することができない罪のことです。
本来、起訴権限は検察官に専属し、検察官が被疑者を起訴するかどうかを自由に決めることができます。
しかし、被害者の存在する罪の中でも一定の罪については被害者の告訴を必要とし、検察官の起訴権限に制限をかけているのが親告罪というわけです。
※告訴権者
告訴できる権限をもつ人。
主な告訴権者は、被害者(犯罪により害を被った者)、被害者の法定代理人(親など)、被害者が死亡した場合の配偶者・直系の親族(親、祖父母など)・兄弟姉妹などです。
※告訴
告訴とは、告訴権を有する者(被害者等)が、捜査機関(検察官又は司法警察員)に対し、犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示を言います。
~親告罪~
主な親告罪は以下のとおりです。
〇 被害者のプライバシー侵害を防止する観点から親告罪とされた罪
☑ 未成年者略取誘拐罪(刑法224条、3月以上7年以下の懲役)
☑ 名誉毀損罪(刑法230条、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金)
☑ 侮辱罪(刑法231条、拘留又は科料)
☑ 信書開封罪(刑法133条、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金)
☑ 秘密漏示罪(刑法134条、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金)
☑ リベンジポルノ防止法違反(3年以下の懲役又は50万円以下の罰金など)
〇 被害者の意思を尊重する観点から親告罪とされた罪
☑ 過失傷害罪(刑法209条、30万円以下の罰金又は科料)
☑ 私用文書毀棄等罪(刑法259条、5年以下の懲役)
☑ 器物損壊罪(刑法261条、3年以下の懲役又は30万円の罰金若しくは科料)
☑ 信書隠匿罪(刑法263条、6月以下の懲役若しくは禁錮又は10万円以下の罰金若しくは科料)
〇 国家の介入を控えた方がよいという観点から親告罪とされた罪
☑ 親族間(※)の窃盗罪(刑法235条、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金)
☑ 親族間の詐欺罪(刑法246条、10年以下の懲役)
☑ 親族間の恐喝罪(刑法249条、10年以下の懲役)
☑ 親族間の横領罪(刑法252条、5年以下の懲役)
なお、
☑ 強制わいせつ罪(刑法176条)
☑ 準強制わいせつ罪(刑法178条1項)
☑ 強制性交等罪(旧強姦罪)(刑法177条)
☑ 準強制性交等罪(旧準強姦罪)(178条2項)
☑ ストーカー規制法のストーカー行為の罪(同法18条)
☑ 営利目的等(わいせつ・結婚目的等)略取・誘拐の罪(刑法225条)
などはかつては親告罪でしたが、現在は非親告罪ですので注意が必要です。
~親告罪と刑事弁護~
親告罪では、罪の被害を被った人、つまり被害者が存在していることが前提です。
ご依頼者が罪を認めているのならば、被害者との示談交渉が主な弁護活動となります。
そして、示談が成立するタイミングで様々な効果が期待できますが、示談が成立するタイミングがはやければはやいほど効果は大きいです。
たとえば、被害者が捜査機関に告訴状を提出する前に示談交渉して示談を成立させることができれば、そもそも捜査機関に逮捕される可能性はなくなりますし、逮捕されないにしても捜査機関から出頭要請を受けて取調べなどの捜査を受ける可能性がなくなります。
もちろん、懲役、罰金などの刑罰を受けることはありませんし、示談成立によって民事上の解決も図られています。
もっとも、弁護士でなければ示談交渉に応じないという被害者が多いですから、示談交渉は弁護士に任せてください。
荒川警察署 東京都荒川区荒川3丁目1-12 03-3801-0110