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東京中央区 無料相談 電子計算機詐欺事件 | 刑事事件の弁護士ならあいち刑事事件総合法律事務所

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東京中央区 無料相談 電子計算機詐欺事件

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 東京支部

 

電子計算機詐欺について,弁護士法人あいち刑事事件東京支部が解説します。

2021年3月、東京都中央区在住のSは、同じく中央区にあるX銀行の支店長を務めている。同月5日、Sは仕事終わりに、自分のパソコンの中にある同銀行のオンラインシステム(以下、本件システム)によって、預金口座に自由に振替入金をすることが可能であることを知った。Sは現在の給料に満足していなかったことから、本件システムを用いて、自己の口座に1000万円の入金をした。翌日、本件システムの管理をしているDは、昨夜に何者かが本件システムを不正に使用したことが履歴に残っていたため、すぐさま中央警察に相談に行ったところ、Sが使用していたことが明らかとなった。(フィクションです)

この場合、Sは何の罪に問われるでしょうか。

 

 

・電子計算機使用詐欺罪が成立するのか

 

ITの目覚ましい発展に伴い、近年では様々な犯罪が増えています。今回取り扱う電子計算機使用詐欺罪もその一つです。本罪は昭和62年の改正により新設され、大きな特徴としては、人を騙すとはいえないが機械を騙すといえる行為を罰することが出来るようになった点です。今回のケースでは、銀行員が同行のオンラインシステムを用いて自己の口座に不正の入金をしたケースです。このような場合、どのような罪が成立するのか、以下検討します。電子計算機使用詐欺罪については、刑法246条の2に記されています。

 

第246条の2(電子計算機使用詐欺)

前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、10年以下の懲役に処する。

 

犯罪が成立するには、「構成要件に該当し違法且つ有責な行為」である必要があるので、構成要件に該当するか、から検討します。

 

第一に、「前条に規定するもののほか」ですが、前条とは246条の詐欺罪のことです。詐欺罪の行為は「人を欺いて財物を交付させる」ことなので、前述した通り、人を騙すとはいえない行為を対象とすることを、ここでは示しています。

 

第二に、「人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して」ですが、分かりやすく区別すると、①人の事務処理に使用する電子計算機に{虚偽の情報or不正な指令}を与えて、財産権の{得喪or変更}に係る不実の電磁的記録を作る場合、②財産権の{得喪or変更}に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供する場合、に分けられます。簡単にいってしまえば、①が不実の記録を作成した場合で、②が既に作られた虚偽の記録を用いる場合です。①の例として判例では、通話サービスを受けること自体が目的ではなく、ダイヤルの情報料を不正に得る目的で、カード式公衆電話機から通話可能度数が改ざんされたテレホンカードを用いて電話する行為を、「『不実の電磁的記録を作』る行為に当たる」と判示しました(岡山地判平4・8・4)。②の例として判例では、有効乗車区間の連続しない磁気乗車券を用いて途中運賃の支払いを免れる行為を、「虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供したといえるから、本条後段の罪が成立する。」と判示しました(東京地判平24・6・25)。今回のケースでは、SはX銀行のオンラインシステムに不正な指令を与えて、自己の口座に1000万円の入金という不実の電磁的記録を作成したため、①の場合に当たります。よって、Sの行為は「人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して」に該当します。

 

第三に、「財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者」ですが、「財産上の不法の利益を得」とは、先程検討した行為をした結果、事実上財産を自由に処分することが出来るという利益を得たり、一定のサービスの提供を受けたり、債務を免れることを指します。今回のケースでは、Sは本件システムを使用し1000万円を自己の口座に入金させたことで、いつでも自由に引き出せる状態にしました。よってSは「財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者」に該当します。

 

次に、違法性と責任ですが、違法性に関しては正当防衛(36条1項)などの事実はなく、責任に関してもSは心神喪失者等でないので、以上見てきたことをまとめるとSの行為に電子計算機使

用詐欺罪(246条の2)が成立するといえそうです。

 

・刑罰について

 

では成立したとしてどのような刑罰が科せられるでしょうか。本条では、「10年以下の懲役に処する。」と書かれています。よって、期間に関しては「1月以上10年以下」となります。

 

・まとめ

 

よって、Sの行為は電子計算機使用詐欺罪(246条の2)にあたり、「1月以上10年以下」の懲役が科せられるということになります。

刑に関しては、初犯か、前科を持っているか、などによって変わります。

 

 

中央警察署 東京都中央区日本橋兜町14-2 03-5651-0110

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