東京板橋 告訴 名誉棄損
- 2021.07.20
- コラム
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所
名誉毀損について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
Aさんは、自分のスマホを使って、自分のアカウントのTwitter上で、「(元交際相手である)板橋区在住のBさんからストーカー扱いされ、金銭を脅し取られてそうだ」、「自分こそ被害者だ」などと言う投稿を繰り返したという名誉毀損罪の件で、板橋警察署の警察官から警察署に出頭するよう要請を受けました。Aさんは、Bさんに板橋警察署に告訴されたのだと思い、納得がいかなかったため、要請に応じて出頭しようかどうか悩んでいます。
(フィクションです)
~はじめに~
近年は、ツイッター、インスタグラムやフェイスブックなどのSNSで誰でも簡単に、しかも匿名でも書き込みできる時代です。ですから、自分の投稿が名誉棄損罪にあたり警察沙汰になるなど思わぬ事態に発展する可能性も考えられます。
そこで今回は名誉棄損罪や名誉毀損罪と侮辱罪の違いについて詳しく見ていきましょう。
~名誉棄損罪とは~
名誉棄損とは、文字通り、他人の名誉を傷つけることをいいます。名誉棄損を行うと刑事上の責任と民事上の責任に問われる可能性があります。
刑事上の名誉棄損罪については刑法230条に規定されています。
刑法230条
1項 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
2項 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘時することによってした場合でなければ、罰しない。
刑法232条
この章の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
「名誉」とは、社会の人に対する評価又は価値と解されています。
「公然」とは、不特定又は多数人が認識し得る状態と解されています。そして、不特定又は多数人が認識し得る状態は、不特定又は多数人の視聴に達し得べき状態であれば足り、現実に、人々が覚知したことを要しないとされています。
「事実を摘示する」とは、社会の人に対する評価を低下させるおそれのある具体的事実を指摘、表示することをいいます。
~名誉毀損罪と侮辱罪との違い~
名誉毀損罪と侮辱罪はまったく別の罪です。
侮辱罪は刑法232条に規定されています。
【侮辱】
刑法232条
事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。
名誉毀損罪と侮辱罪の大きな違いは
事実を摘示したかどうか
罰則
の2点です。
=事実を摘示したかどうか=
「事実」を摘示した場合は名誉毀損罪、事実を摘示しない単なる意見、評価、批判の場合は侮辱罪が成立します。
=罰則=
名誉毀損罪の罰則は「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」です。
侮辱罪の罰則は「拘留又は科料」です。
なお、拘留は1日以上30日未満の範囲で刑事施設に収容される刑罰(原則、刑務作業なし)、科料は1,000円以上1万円未満のお金を国に納付しなければならない刑罰です。
~名誉毀損罪も侮辱罪も親告罪~
名誉毀損罪も侮辱罪も被害者の告訴がなければ起訴されない親告罪です。
(親告罪)
第二百三十二条 この章の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
名誉毀損罪や侮辱罪で起訴され刑事裁判が開かれると、被害者が知られたくないと思っている事実まで公にされてしまう可能性があります。
そこで、被害者のプライバシーを保護するという観点から、親告罪とされているのです。
告訴期間は、被害者が犯人を知った日から6か月です。
~被害者と示談するのも一つの方法~
Aさんは出頭するかどうか悩んでいるようですが、悩んだらまずははやめに弁護士に相談することをお勧めします。
相談すれば、Aさんの状況に応じた的確なアドバイスを弁護士から受けることができます。
Aさんの場合、被害者の連絡先等を知っているとも考えられます。
そのため、Aさんが事実を認め、弁護士に依頼する場合は、被害者に謝罪した上で、示談交渉をはじめることが基本的な弁護活動となります。
板橋警察署 東京都板橋区板橋2丁目60-13 03-3964-0110