東京港区(三田,田町) 逮捕 万引き
- 2021.06.01
- コラム
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 東京支部
万引きに関連する罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
東京都港区に住むAさんは、田町駅にあるディスカウントストアで万引きし、店の外へ出たところ、後ろから追いかけてきた警備員を突き飛ばして怪我をさせてしまいました。
その後、Aさんは、店からの通報を受けて駆けつけた三田警察の警察官から店の周辺で職務質問を受け、強盗致傷罪の被疑者として逮捕されてしまいました。
警察官から逮捕の連絡を受けたAさんの家族は「強盗致傷罪」という罪の響きに驚き、弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
~万引きは窃盗罪~
万引きは、スーパーなどの商品を、レジをとおすことなく自分のものにする行為のことです。
万引きという罪はありませんが、実際には窃盗罪に当たります。
窃盗罪は刑法235条に規定されており、罰則は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
(窃盗)
第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
~万引きから発展する可能性のある罪~
万引きが窃盗罪にあたり、かつ、被害額が低額などの場合は、不起訴や略式起訴され罰金で終わる可能性も十分に考えられます。
しかし、ケースによっては万引きが窃盗罪で終わらない場合もあります。
以下では、実務上、万引きからよく発展することが散見される罪の内容と罰則をご紹介します。
●事後強盗罪●
事後強盗罪は刑法238条に規定されています。
(事後強盗)
第二百三十八条 窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。
万引きした後、万引き行為を指摘さ「れた保安員に対して暴行を加える行為が事後強盗罪にあたる典型例です。
ただし、事後強盗罪の暴行又は脅迫は、人の反抗を抑圧するに足りる程度の強力なものである必要があると解されています。
「強盗として論ずる」というのは強盗罪(刑法236条)と同じ法定刑、すなわち、5年以上の有期懲役という意味です。
(強盗)
第二百三十六条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
●強盗致死傷罪●
強盗致死傷罪は刑法240条に規定されています。
(強盗致死傷)
第二百四十条 強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。
「強盗が」とありますから、強盗犯が人を負傷、死亡させた場合はもちろん、事後強盗犯が人を負傷、死亡させた場合でも強盗致死傷罪に問われる可能性があります。
負傷させた場合の法定刑が無期又は6年以上の懲役、死亡させた場合が死刑又は無期懲役です。
●常習累犯窃盗罪●
常習累犯窃盗罪は、刑法とは別の「盗犯等ノ防止及処分二関スル法律」という法律の3条に規定されています。
万引きした日から過去10年以内に合計3回、窃盗罪などの罪で服役した場合に適用される可能性のある罪です。
~強盗致傷罪と刑事弁護 ~
強盗致傷罪は財産犯の一部ですから、被害や被害額はどれほどだったのか、それに対して被害弁償、慰謝の措置は取れているのかがまず重要視されます。
刑事弁護としては、まずは接見で被疑者からじっくりと話しを聴き、事実を認めるのであれば被害弁償、慰謝の措置に向けた行動をとる必要があります。また、万引きは再犯のおそれが高い犯罪だと言われています。ですから、被害弁償、慰謝の措置と同時に、再犯防止に向けた具体策を決め、その結果を検察官や裁判官にアピールしていかなければなりません。
三田警察署 東京都港区芝浦4丁目2-12 03-3454-0110