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東京目黒 窃盗事件の中止犯 | 刑事事件の弁護士ならあいち刑事事件総合法律事務所

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東京目黒 窃盗事件の中止犯

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 東京支部

 

窃盗事件の中止犯について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

Aさんは金銭に困っていたため、知人Vさんが目黒で経営する時計販売店Xから高級な腕時計を盗んで、それを売却することによってお金を得ようと考えました。
そこでAさんは深夜Xに侵入して店内を物色したのですが、その最中、外でパトカーのサイレンの音がしたため、目黒警察署の警察官が来るのではないかと焦ったAさんはすぐに店内から逃げ出しました。
Aさんは腕時計を自身の鞄に入れる途中でしたが急いで店を出たため、腕時計は元々置いてあった場所に返して、結局は何も取らずに逃走しました。
このような場合、Aさんの行為にはどのような罪が成立するのでしょうか。
(この話は事実を基にしたフィクションです。)

 

~窃盗罪~

まず本件でAさんは窃盗目的でVさんが経営する家電販売店Xに侵入しているので、かかるAさんの行為は「正当な理由」なくXという「建造物」に「侵入」したとして建造物侵入罪(刑法130条前段)が成立すると考えられます。
刑法130条 「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。」

 

次にAさんはX内に置いてあった腕時計を自身の鞄に入れようとしていますが、このようなAさんの行為に窃盗未遂罪(刑法243条、235条)は成立しないでしょうか。
未遂罪については刑法43条で定められているところ、腕時計を自身の鞄に入れようとした本件においてAさんが「犯罪の実行に着手」したといえるかが問題となります。
刑法43条 「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。」

 

どのような場合に実行の着手が認められるかについては法律の専門家の間で様々な説が存在するのですが、法が保護しようしている利益を侵害する現実的危険性のある行為が開始された時点で実行の着手が認められるという説が有力です。
具体的に窃盗罪の場合は、財物の占有を侵害する現実的危険性を有する行為が開始された時点で窃盗罪の「実行に着手」したと認められると考えられています。

これを本件について見てみると腕時計という持ち運びが簡易なものを自身の鞄に入れようとした時点で、その腕時計の占有がAさんに移る危険性が存在しているといえます。
このように考えると本件でも腕時計の占有を侵害する現実的危険性を有する行為がなされたといえ、Aさんは窃盗罪の「実行に着手」したと認められる可能性が高いです。
過去の裁判(大判昭和9年10月19日)では、金品物色のためにタンスに近寄った時点で実行の着手が認められた例も存在します。

以上より、本件Aさんの行為には窃盗未遂罪が成立すると考えられます。

 

~中止犯~

次にAさんの行為に窃盗未遂罪が成立するとしても、Aさんに中止犯(刑法43条但書き)が成立しないかが問題となります。
簡単に言うと中止犯とは、自身の意思で犯罪を中止した場合には刑が減軽又は免除されるというものです。

中止犯が成立するには、①「自己の意思により」②「犯罪を中止」したと認められる必要があります。
以下、本件で①②が満たされるか検討していきます。

まず②についてAさんは一度自身の鞄に入れようとした腕時計を元々置いてあった場所に返しているので、かかるAさんの行為は「中止」行為と認められる可能性が高いです。

次にAさんは部屋の電気がついたことを原因として窃盗を中止していますが、このような場合にも①「自己の意思」によって犯罪を中止したといえるのでしょうか。
同条における「自己の意思」の判断基準が問題となります。

 

これについては様々な考えが存在するのですが、外部的障害が契機となって犯罪を中止したとしてもその事情が必ずしも行為者に中止を決意させるものでないにもかかわらず中止行為に出た場合には「自己の意思」によって犯罪を中止したと認める考えも有力です。
過去の裁判(福岡高判昭和61年3月6日)でも「外部的事情の表象が中止行為の契機となっている場合であっても、犯人がその表象によって必ずしも中止行為に出るとは限らない場合にあえて中止行為に出たときは~任意の意思に基づいてなされたと認めるのが相当である」と述べられました。

 

本件Aさんは部屋の電気がついたという外部的事情を原因として犯罪を中止していますが、自身の犯行が見つかることを恐れて犯罪を中止することは一般的に考えられることであり、当該事情は通常の行為者に中止を決意させるものといえます。
そうだとすると、本件では「自己の意思」により犯罪を中止したとは認められない可能性が高いです。
以上より、本件Aさんには中止犯は成立しないと考えられます。

 

~参考条文~
刑法235条 「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」
刑法243条 「第235条から第236条まで及び第238条から第241条までの罪の未遂は、罰する。」

 

目黒警察署 東京都目黒区中目黒2丁目7-13 03-3710-0110

 

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