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東京 新宿 逮捕 傷害致死事件

2020年2月1日、東京都新宿区にある繁華街を歩いていたXは、仕事のトラブルで腹を立てていたところ、通行人Qと目が合った。XはQが自分のことを睨んでいると誤信し、「悪いのはあいつだ。一発殴ってストレス解消してやる。」と思い、Qの元に駆け寄り、Qに対し、「お前俺の事睨んでただろ。」と迫った。身に覚えのないQは、「人違いですよ。もしかして先ほど目が合った方ですか。睨まれたと思いになったのであれば謝罪します。」と言った。このままではQを殴る口実がないと考えたXは、「分かった。」と告げ、その場を離れた。同年3月1日、仕事終わりに新宿区の川沿いを歩いていたXは、一月前会ったQらしき人物を見かけたため、「この前の奴か。今度は絶対に殴る。ちょっと痛めつけてやろう。」と考え、後ろからXが所持していたバッグでQらしき人物の後頭部を殴った。Qらしき人物は、実はVという別の人物であり、VはXの暴行により頭を地面に強く打ち、脳出血後、失血死した。その後一部始終を見ていた通行人の通報により、Xは新宿警察に現行犯逮捕された。(フィクションです)
この場合、Xはどのような罪が科せられるでしょうか。

 

・殺人か傷害罪か傷害致死罪か今回のケースのように繁華街でのトラブルは日々ニュースなどで見受けられます。そして口論の末、暴行がなされ最悪の場合被害者が死亡してしまう事件も少なくありません。今回のケースでは、繁華街での事件ではありませんが、暴行の末、被害者が死亡してしまう事件となります。さらに今回はこれまでと違い、行為者の勘違いで全くの別人を殺してしまいました。このような場合でも処罰されるのでしょうか。以下検討していきます。殺人罪は刑法199条に、傷害罪は204条に、傷害致死罪は205条に記されています。

 

第199条(殺人)
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

第204条(傷害)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

第205条(傷害致死)
身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。

 

犯罪が成立するには、「構成要件に該当し違法且つ有責な行為」である必要があるので、構成要件から検討していきたいところですが、今回のケースでは、XはQらしき人物(実はV)を殴るとしか思っていないにも関わらず、被害者は死に至ったため,上記条文のどれを検討すれば良いのでしょうか。このような場合、まずXの行為自体に着目して、その後Xの主観的事情を考えます。よって、今回は傷害罪から検討します。
第一に、「人の身体を」ですが、これは条文通り、動物などではなく「人の身体」に対する侵害を指します。今回のケースでは、殴られたのは後頭部なので、「人の身体」に該当します。
第二に、「傷害した者」ですが、傷害とは「人の生理的機能に障害を加えること」をいいます。今回のケースでは、Xは所持していたバッグでVの後頭部を殴りました。そしてその後Vは頭を地面に強く打ち、脳出血を起こしました。よって、Xは「傷害した者」に該当します。

 

・客体の錯誤

次に違法性と責任について検討する前に、今回のケースでは、XはQだと思って暴行行為を行ったものの実はVという全く異なる人物だったため問題となります。このXの主観的事情を以下検討します。
まず、刑法38条に故意を規定した条文があります。

 

第38条(故意)
1 罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。
2 重い罪に当たるべき行為をしたのに、行為の時にその重い罪に当たることとなる事実を知らなかった者は、その重い罪によって処断することはできない。
3 法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない。ただし、情状により、その刑を減軽することができる。

故意とは、「罪を犯す意思」のことであり、「犯罪事実の認識・認容」を指します。そして故意を条文として規定する本質は、「反規範的人格態度に対する道義的非難」であり、規範は構成要件の形で一般人に与えられています。簡単にいってしまえば、「やってはいけないのにやったから非難されるべき」であり、その「やってはいけないこと」が条文として規定されているということです。以上の趣旨を踏まえて今回のケースを検討すると、Xは暴行を加えた相手をQだと思っていたため、Vに対する「犯罪の事実の認識・認容」がありません。しかし、このような場合、判例では「認識した内容と発生した事実とが法定の構成要件の範囲内で符合している限り規範の問題に直面しているといえるので、故意を阻却しないと解すべきである。」と示しています。この考えを今回のケースにあてはめると、「Qを殴った」ことと「Vを殴った」ことは傷害罪の構成要件たる「人の身体を傷害した」として同一であるので、「やってはいけないのにやったから非難されるべき」とする規範の問題にXの行為は直面しているといえます。よって、Vに対する故意が認められます。

 

・結果的加重犯

今回のケースではもう一つ問題点がありました。それは、Xには殴って痛めつけようという意思しかなく、相手方への殺意が無かったという点です。このような場合、殺人罪が成立するのでしょうか。結論からいってしまうと、殺人罪は成立しません。その理由としては、前述した通り、故意とは「犯罪事実の認識・認容」を指すのであり、殺人罪が成立するには、行為者の行為により死の結果が発生可能であることを、行為者が認識・認容している必要があるからです。今回のケースでは、Xは相手方を殴って痛めつけることは認識・認容していたものの、まさか相手方が死亡するとは思っていなかったため、殺人罪の故意は認められず、殺人罪は成立しません。
もっとも、Xは後頭部をバッグで殴るという行為を行い、その結果Vは死亡してしまいました。このVの死の結果に対しXは何ら責任を負わないのでしょうか。このような場合を加重処罰するべく、結果的加重犯という規定があります。結果的加重犯とは、基本犯が実現された後に、更に一定の結果が発生した場合、行為者に加重刑罰を科すというものです。なお、基本行為と重い結果との間には因果関係を要し、重い結果の発生につき行為者の過失は不要です。今回のケースでは、Xのバッグで後頭部を殴るという行為によって、Vは頭を地面に強く打ち、脳出血後、失血死しました。このXの行為にはV死亡の結果発生の危険を含む行為といえるので因果関係も認められます。よって、傷害致死罪の構成要件たる「身体を傷害し、よって人を死亡させた」に該当します。
次に、違法性と責任ですが、違法性に関しては正当防衛(36条1項)などの事実はなく、責任に関してもXは心神喪失者等でないので、以上見てきたことをまとめるとXの行為に傷害致死罪(205条)が成立するといえそうです。

 

・刑罰について

では、成立したとしてどのような刑罰が科せられるのでしょうか。本条では、「3年以上の有期懲役に処する」と書かれています。よって期間に関しては「3年以上20年以下」となります。

 

・まとめ

よって、Xの行為は傷害致死罪(205条)にあたり、3年以上20年以下の懲役が科せられるということになります。
ケースの事件は起訴された場合裁判員裁判で審理されます。裁判員裁判では本件に至る経緯まで詳細に主張立証されるでしょう。その他刑に関しては初犯か前科を持っているかによって変わります。

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