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東京都足立区 逮捕 架空請求の詐欺事件 | 刑事事件の弁護士ならあいち刑事事件総合法律事務所

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東京都足立区 逮捕 架空請求の詐欺事件

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 東京支部

 

架空請求の詐欺事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

2020年10月、足立区在住の80代女性Hの自宅に「●●ファイナンス」を名乗る番号から電話が来た。電話内容は、「私は携帯電話会社のIだが、Hの使用している携帯電話の利用料金が総額50万円延滞している。明日中に支払わなければ訴訟を起こす。」というものだった。Hは全く身に覚えがなかったが、Hの孫や夫が携帯電話を使用したかもしれないと思い、家族に相談せず、急いで銀行に行きIが指定した口座に50万円を支払った。Iは口座に入金されたことを確認し、そのお金でまた新たな詐欺を起こそうと企てた。後日、Hの孫Fが、Hの預金明細を銀行に確認しに行ったところ、見知らぬ振込の50万円があったため、Hに詳細を聞いた。FはHが詐欺事件に巻き込まれたと思い、Hの携帯電話会社に問い合わせをしたところ、そのような電話はかけていないということが判明した。その後Fは竹の塚警察署に相談しに行った。後日、Iは竹の塚警察署に逮捕された。
この場合、Iは何の罪に問われるでしょうか。

・詐欺罪
第246条(詐欺)
1 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

近年の高齢化社会に伴い、高齢者をターゲットにした詐欺事件が多発しています。その内容としては、今回のような携帯電話会社を装った者が自宅の電話もしくは携帯電話のショートメッセージ等に嘘の支払いを請求するものや、株やFXなどの根拠のない儲け話を持ち掛けるものなど多岐に渡ります。最近では、持続化給付金関連で警察や銀行を装ってキャッシュカードを奪うケースも見られます。このような詐欺事件に巻き込まれない、そして巻き込ませないためにも、詐欺罪がどのように成立するのか、今回のケースを基に検討しましょう。

詐欺罪については刑法の246条に記されています。246条1項は詐欺罪、2項は詐欺利得罪と呼ばれる罪を規定した条文です。一般的な詐欺罪は246条1項に該当するため、今回は1項を基に見ていきます。犯罪が成立するには、「構成要件に該当し違法且つ有責な行為」である必要があるので、まずは構成要件に該当するか、から検討します。
まず、「人を欺いて財物を交付させた者」ですが、詐欺罪の構成要件的行為の基本構造は、①行為者の欺く行為(以下欺罔行為)により、②被害者又は被害者の財産につき処分権限を有する者が錯誤に陥り、③錯誤に基づき財物が交付され、④財物が行為者又は第三者に移転することの四段階に分けられます。よってこの四段階それぞれに該当するか検討します。

第一に、「行為者の欺罔行為」です。欺罔行為とは、「相手方がその点に錯誤が無ければ財産的処分行為をしなかったであろう重要な事実を偽る行為」をいいます。例えば、息子であると偽った者がその母親に、「交通事故にあったから今すぐお金を振り込んでくれ。」と言い、母親がお金を支払った場合、母親は偽の息子にそのようなことを言われなかったら、お金を振り込まなかったと言えるため、このような場合、欺罔行為があったと言えます。欺罔行為の手段・方法に制限はなく、また欺罔行為といえるか否かは実質的に判断され、積極的に詐術を用いる行為だけでなく、相手方が錯誤に陥っていることを認識している場合にそれを告知する法律上の義務を有する者がその義務を怠るという不作為による欺罔でも詐欺罪の欺罔行為となり得ます。判例では、銀行に誤振込みがあった場合にその事実を隠して預金の払い戻しを請求する行為を、欺罔行為としました。今回のケースでは、IはHに対して、「Hの使用している携帯電話の利用料金が総額50万円延滞している。」と嘘の事実を言い、Hはその事実に騙されたため、①があったといえます。

第二に、「被害者又は被害者の財産につき処分権限を有する者が錯誤に陥り」です。錯誤とは、観念と事実の不一致をいいます。そして錯誤に陥った原因は行為者の欺罔行為である必要がありますが、それに加えて被害者自身の自己判断の過誤が一因となってもよいです。今回のケースでは、携帯電話、預金口座ともにH所有の物であり、Hは前述した通り、Iの欺罔行為によって錯誤に陥りました。さらにその錯誤は、H自身が携帯電話を使用したかもしれないという事実だけでなく孫のFや夫がHの携帯電話を使用したかもしれないという考えに至ったことで、最終的な判断として料金が総額50万円延滞しているとHは思いました。よって②があったといえます。
第三に、「錯誤に基づき財物が交付され」です。財物が交付される、つまり処分行為があるというためには、被欺罔者の瑕疵ある意思に基づいて財物の占有が終局的に移転したことが必要であり、そしてそれが認められるには被欺罔者に占有移転の認識が必要です。例えば、洋服の試着をしている際、店員に対して「電話に出てくる。」と言って店から逃走する行為は、被欺罔者である店員としては一時的にその場を離れる程度の認識でしかなく、*1洋服に関しても行為者に渡したとは考えていないため、瑕疵ある意思に基づく占有の終局的移転がない、ということになり詐欺罪が成立せず窃盗罪が成立することになります。今回のケースでは、錯誤に陥ったHがIに対して50万円を銀行に支払いに行っているため、③があったといえます。
第四に、「財物が行為者又は第三者に移転する」です。処分行為があっても財物の移転がなければ246条1項は成立せず250条により未遂罪に留まります。また、詐欺罪の既遂となるためには処分行為と財物の移転との間には因果関係が必要です。例えば、今回のケースで仮にHがIの指定した口座にATMで入金したつもりが、操作ミスによりIではなくHの親戚に送金をし、さらに1か月後ATMの誤作動でHの口座から勝手にIの元に50万円が支払われた場合、因果関係が断絶したといえ、詐欺罪は既遂には至らないといえます。今回のケースでは、そのようなことはなく、HはIの指定した口座に50万円を支払ったので、④があったといえます。
よって、以上四段階全て該当するといえますが、詐欺罪はこれに加えて最後に不法領得の意思が必要です。不法領得の意思の内容は①排除意思と②利用・処分意思の両者が必要とされています。不法領得の意思についての詳細な解説は【ケース9】を参照してください。今回のケースでは、①Hの50万円を自分の所有物にし、②そのお金で新たな詐欺を起こそうと企てたことから、不法領得の意思があったといえます。
次に、違法性と責任ですが、違法性に関しては正当防衛(36条1項)などの事実はなく、責任に関してもTは心神喪失者等でないので、以上見てきたことをまとめるとIの行為に詐欺罪(246条)が成立するといえそうです。

・刑罰について
では、成立したとしてどのような刑罰が科せられるでしょうか。本条では、「10年以下の懲役に処する。」と書かれています。ですので期間に関しては、「1月以上10年以下」となります。

・まとめ
よって、Iは詐欺罪(246条1項)にあたり、1年以上10年以下の懲役が科せられるということになります。
刑に関しては初犯か前科を持っているか、詐欺組織として行ったのであればいかなる立場において行ったか、などによって変わります。

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