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東京都渋谷区 逮捕 殺人事件の接見交通権 | 刑事事件の弁護士ならあいち刑事事件総合法律事務所

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東京都渋谷区 逮捕 殺人事件の接見交通権

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 東京支部

 

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 東京支部が殺人事件の接見交通権について解説します。

東京都渋谷区に住むAさんは殺人罪の容疑で原宿警察署に勾留されていて、現在実況見分に立ち会っているところです。
そこに弁護人Bさんがやってきて「Aと接見がしたい」と申し入れたところ、警察官は「今Aは実況見分の立会を行っているので接見はできない。3時間後には実況見分も終わっているはずだから、その時間には接見ができる。」とBに答えました。
このような警察官の措置は認められるのでしょうか。
(この話は事実を基にしたフィクションです。)

~接見交通権~

本件でBさんは「Aと接見がしたい」と申し入れをしていますが、このような接見は認められるのでしょうか。
また、それに対し警察官は「今は困る」と接見を別の時間に指定していますがこのような警察官の措置は適法といえるでしょうか。
今回は接見交通権が認められる場合とそれが制限される場合について説明していきます。

まず、接見交通権については刑事訴訟法第39条1項で以下のように定められています。
「身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。」

簡単に言うと、被疑者又は被告人は身体を拘束されている場合でも立会人なくして弁護人と会うことができるということです。
このような接見交通権を認めることで被疑者・被告人が弁護人に依頼する権利(憲法34条前段)を実質的に確保し、被疑者・被告人の防御権を十分に保障しようと考えられています。

このように考えるとAとBは接見交通権により立会人なくして会うことができるので、本件のような警察官の措置は認められないようにも思われます。
しかし、刑事訴訟法39条3項では「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、捜査のため必要があるときは、公訴の提起前に限り、第1項の接見又は授受に関し、その日時、場所及び時間を指定することができる。但し、その指定は、被疑者が防御の準備をする権利を不当に制限するようなものであってはならない」と定められています。
とすると、ここで本件における接見時間指定が「捜査のため必要があるとき」と認められるかどうかが問題となります。

この点前述したように接見交通権は弁護人依頼権や黙秘権(憲法38条1項)を実質的に保障するのに不可欠であるため、原則として接見交通権は認められるべきです。
よって「捜査のため必要があるとき」とは限定的に解釈するべきであり、現に被疑者が取調べ中であるとか、実況見分、検証などに立ち会わせている場合等、捜査の中断による支障が顕著な場合をいうと考えられます。

これを本件について見てみると、Aさんは実況見分に立ち会っているのでAさんが接見に行ってしまうと実況見分が中断されることになり捜査に顕著な支障が生じるといえます。
したがって、本件では「捜査のため必要」があったとして接見時間指定は行い得ると考えられます。

ただそうだとしても、本件での接見時間指定が「被疑者が防御の準備をする権利を不当に制限するようなもの」ではないかも検討する必要があります。
思うにこの但し書きは接見交通権の重要性を考慮して、たとえ接見指定できる場合であっても捜査機関はできる限り速やかに接見のための日時を指定し被疑者が弁護人と防御の準備をする機会を保障するために定められたと考えられます。

このように考えると本件でも接見指定がされていますが、3時間後には接見が可能と告げているところ「できる限り速やかに接見の日時を指定している」と判断される可能性が高いです。
このように判断された場合、警察官による接見時間指定は「被疑者が防御の準備をする権利を不当に制限するようなもの」とは言えず適法となります。

~参考条文~

憲法34条前段 何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与えられなければ、抑留又は拘禁されない。
憲法38条1項 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。

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